埼玉新聞

 

日本一暮らしやすい埼玉へ最優先に 2022年度の県予算案、コロナ対策など直面する危機脱却にも注力

  • 県新年度当初予算案について説明する大野元裕知事=10日午後、県庁

 県は10日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計総額は前年度比5・1%増の2兆2284億5900万円で、2年連続で2兆円を超え、過去最大を更新した。大野元裕知事は同日の定例会見で昨年の県誕生150周年を踏まえ、「新たな150年に向けた挑戦をキャッチフレーズに、直面する危機からの脱却と日本一暮らしやすい埼玉に向けた将来像の実現の二つの柱で、最優先事項を定めた」と編成方針を述べた。

■歳入

 歳入の柱となる県税収入は新型コロナ感染拡大の影響により、法人2税(法人事業税、法人県民税)をはじめ多くの税目で減収が見込まれた本年度比6・2%(467億円)増の8018億円。地方交付税は同15%増の2492億円、国庫支出金は同31・1%増の3505億円と試算。

 県の借金に当たる県債発行額は臨時財政対策債(臨財債)の減少により37・4%減の2001億円。防災対策、特別支援学校や児童相談所整備など緊急性、必要性の高い事業の財源として活用する。

 交付税の不足分を国に代わって県が起債する赤字地方債の臨財債は同65・9%減の700億円を計上。県債依存度は前年度の15・1%から9%となる。臨財債を含む県債残高は22年度末で3兆7982億円となる見通し。県民1人当たりの「借金」に換算すると、前年度より1万9千円減の51万4千円となる。

■歳出

 歳出は義務的経費のうち、約4分の1を占める給与費が前年度比0・2%減の5675億円。扶助費が新型コロナPCR検査の公費負担などにより4・4%増の1416億円。公債費は0・3%増の2805億円。扶助費と公債費は前年度比1・6%の増となった。

 投資的経費は県立学校の大規模改修など全体で5・4%増の1822億円を計上。そのうち公共事業費は3%増の1011億円を計上し、2年ぶりに1千億円を超えた。国の経済対策である2月補正と合わせた13カ月予算では、1362億円を確保し、防災・減災対策を推進する。財源不足分は県の貯金に当たる財政調整基金から730億円を取り崩す。

■重点事業

 22年度当初予算は「直面する危機からの脱却」「日本一暮らしやすい埼玉に向けた将来像の実現」に最優先に取り組み、限りある財源を重点的に配分する。コロナ対策では検査・医療提供体制の確保に引き続き注力するほか、ワクチン接種の推進や感染症専門人材の育成などに取り組む。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と経済回復・成長では中小企業のデジタル化支援やオンラインを活用した販路開拓支援、商店街に対するキャッシュレス決済の導入支援などを行う。

 危機・災害に強い埼玉の構築では防災ヘリコプターの更新による防災力の充実や、災害時の要配慮者への支援体制強化に取り組む。

【2022年度県当初予算】( )は前年度比

一般会計

2兆2284億5900万円(5・1%増)

特別会計

1兆2325億5940万円(2・8%増)

企業会計

1845億3480万円(0・2%増)

【主な新規・拡大事業】

・新型コロナウイルス感染症対策関連

1879億8400万円

・デジタルトランスフォーメーション(DX)関連

129億9300万円

・地下鉄7号線延伸共同調査

4400万円

・屋内50メートル水泳場、スポーツ科学拠点関連

4900万円

・防災ヘリコプターあらかわ2更新

28億3800万円

・ヤングケアラー支援推進協議会設置

1100万円

・産科医療体制整備

4500万円

・農大跡地等活用推進

91億8600万円

・通学路ガードレール設置

8000万円

・幅広い世代の就業支援

2億4700万円

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