さようなら…91年親しまれた赤い屋根シンボルの駅舎 役目終え、解体へ JR八高線・川越線の高麗川駅 きょう8日から新駅舎の使用開始 東西自由通路の開通は26年3月に
日高市の八高線・川越線高麗川駅では8日から、新しい駅舎の使用を開始した。赤い屋根がシンボルの旧駅舎は閉鎖され、12月中旬から解体工事が始まる。91年にわたり親しまれた旧駅舎の待合室には、地元住民らが感謝のメッセージを書き残していた。
旧駅舎は1933年に使用を開始した。赤い屋根と白い壁の木造平屋で、修理を繰り返しながら長年利用されてきた。地元住民やハイキングを楽しむ客らが多く利用し、1日の平均乗車人員数は3897人(2023年)。
メッセージカードは10月16日から設置し、5日時点で約300枚が集まった。回収箱が設置され、駅員が待合室の壁に貼り出している。「ありがとう バイバイ」「幼いころからお世話になっていました」「どこに行くにも いつも利用させていただいていました」「私の鉄道好きが始まった駅でもあり、たくさんの思い出の詰まった駅舎!」など、別れを惜しむ声が多く寄せられていた。
工事は日高市とJR東日本の共同事業。新駅舎は地上2階建てで、26年3月からは東西自由通路が開通し、今まで迂回が必要だった東側からも出入りが可能になる。外壁には旧駅舎の屋根と、日高市の観光名所「巾着田」に群生する曼珠沙華をイメージした赤色で塗られた。連絡通路には曼珠沙華や高麗川とカワセミがデザインされる予定だ。
6日、飯能市から訪れ旧駅舎の姿をカメラに収めていた30代男性は、「八高線は昔からよく使っていたので寂しい。赤色が、時代が変わっても引き継がれたのはよかった」。駅の東側に住むという70代女性は「便利にはなるけど、好きな駅なので…。娘は勤め先から帰ってくると『山が見えてほっとする』と言う。新しい通路からの景色も楽しみ」と話した。
8日からは東西自由通路の西口のエレベーターと仮設階段が使用可能になる。東口駅前のロータリーも整備を進めており、送迎車両による混雑の緩和や利便性の向上が期待される。
旧駅舎の閉鎖に伴い、メッセージカードの受け付けは7日で終了した。