埼玉新聞

 

多彩な表現600作品 県障害者アート展 さいたま市の県立近代美術館で きょう8日まで

  • 「流木不屈」(左)と「風化不屈」を出品した竹内君恵さん

    「流木不屈」(左)と「風化不屈」を出品した竹内君恵さん

  • 絵画4点を出品した尾崎翔悟さん=4日、さいたま市浦和区常盤の県立近代美術館

    絵画4点を出品した尾崎翔悟さん=4日、さいたま市浦和区常盤の県立近代美術館

  • 「流木不屈」(左)と「風化不屈」を出品した竹内君恵さん
  • 絵画4点を出品した尾崎翔悟さん=4日、さいたま市浦和区常盤の県立近代美術館

 第15回県障害者アート企画展「Coming Art 2024」が8日まで、さいたま市浦和区の県立近代美術館で開催されている。県内の50以上の福祉施設などが協力し、128人の作家による多彩な表現を駆使した絵画、立体など600を超える作品を展示している。

 県障害者アートネットワークTAMAP±〇(通称タマップ)と社会福祉法人みぬま福祉会(川口市)の主催。県と県障害者アートフェスティバル実行委員会の共催。節目の15回目を迎え、作品のクオリティーが上がり、関係者それぞれの視点で話し合いながら選考した作品が並ぶ。

 竹内君恵さん(67)は、絵画2点を出品した。約40年連れ添った夫を4年前に病気で亡くしている。「とても仲が良かったので、悲しくて泣き続けた」。半年間にわたり、不安や怖さを抱えながら毎日を過ごした。「このままではいけない」と決意し、泣きたくなったら絵を描いた。

 竹内さんにとって、絵は「生命」だという。作品「流木不屈」には、「風や波が来ても怖くない」、作品「風化不屈」には、「風化された木になりたくない」という自身の思いを込めた。障害と闘いながら生きていこう。「皆さんと気持ちをシェアしたいと思い企画展に参加した」と語った。

 みぬま福祉会の運営する施設「工房集」(川口市)で活動する尾崎翔悟さん(36)は、ボールペン、色鉛筆、定規を使って絵を描く。大好きなジャズなどの音楽や楽器、コーヒー、ディズニーを題材にして、描く色、文字の書体にもこだわりながら、作品を仕上げていく。4作品を展示した尾崎さんは「うれしいです」と笑顔で話した。

 今回は作品を鑑賞した中学生による感想文をパネル展示する。工房集職員で企画展スタッフの城田侑希さん(34)は「今年も多様な作品が集まり、広がりや、つながりが出てきている」。コロナ禍が明けて、展覧会の開催が増えた。城田さんは「作品を見てもらえる機会が増えた。作家の皆さんはモチベーションを高め、作品に反映されていく。ぜひ見にきてほしい」と話していた。

 会場は近代美術館地下1階の一般展示室1、2。午前10時~午後5時。入場無料。

 問い合わせは、同館(電話048・824・0111)へ。

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