埼玉新聞

 

秩父市、新入学児童へのランドセル現物支給見直し 市長の公約だった 上限5万円の補助金に切り替えた理由

  • 色とりどりのランドセルを背負って登校する児童=秩父市内

 秩父市の北堀篤市長は15日の定例記者会見で、市内の2023年度の新入学児童を対象にしたランドセルの現物支給の方針を見直し、ランドセルを各家庭で購入するための補助金交付に切り替える考えを明らかにした。補助金の上限は児童1人当たり5万円。北堀市長は「現物支給にこだわりはあり、将来の検討課題にしたい」と述べた。22日に開会する市議会3月定例会に補助金1975万円を計上した21年度一般会計補正予算案を提案する。

 ランドセルの現物支給は、昨年の市長選で初当選した北堀市長の公約でもあった。現物支給の予算を盛り込んだ21年度一般会計予算案を昨年12月議会に上程したが、議会からは「制度設計の不備や対象者への調査が不十分」と指摘され、現物支給などの予算を除いた修正案が可決された。

 議会からの指摘を受け、市は23、24年度の新入学児童計773人の保護者を対象にアンケート調査(回収率64・2%)を実施。「現物支給(配布)」「購入クーポン」「補助金の交付」の三つの選択肢を設けたところ、「補助金の交付」が49・4%と半数を占めた。次いで「購入クーポン」が32・1%、「現物支給」は最も少ない17・3%だった。

 北堀市長は「今回のアンケート結果をしっかりと受け止め、皆さんの意見を尊重した支援策を進めていきたい」と補助金の交付に切り替えた。市は今後、秩父郡市内の販売店で購入したランドセルの領収書を保護者に申請してもらい、上限5万円を補助する支援策を進めていく。

 アンケート調査には「秩父郡市外やインターネットでも購入できる補助金にしてほしい」「ランドセルに限定せず、体操服など入学にかかる物品購入の支援にしてほしい」などの意見も寄せられていたが、市教育委員会は取材に「あくまで秩父郡市内でのランドセル購入者を対象に進めていきたい」と強調している。

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