女性だけの劇団が20周年 女子高を卒業、男役演じる機会なくなる…だったらつくろう 川越女子高の卒業生中心に旗揚げ 13―15日、発祥の地・埼玉で記念上演 「表現の広がり、自由さを感じて」
埼玉県立川越女子高校の卒業生を中心に結成した、女性だけの劇団「Mono-Musica(モノムジカ)」が20周年を迎え、記念ミュージカル「辺獄に花立つ」を13~15日、彩の国さいたま芸術劇場小ホール(さいたま市中央区)で上演する。「人間賛歌」をテーマに大正時代の詩人を描いた歴史ミュージカルだ。
代表で脚本・演出を務めるヤマケイさん(39)=新座市出身=は2004年に劇団を旗揚げした理由を語る。川越女子高時代のヤマケイさんには、英語劇部に所属し「男役」を得意とする同級生がいた。「女子高を卒業したら男役を演じる機会はなくなる。だったら私がつくろう」と奮起し、東京芸術大1年の時に、川女卒業生を中心に4人で劇団を結成した。
モノムジカは「単一の音楽劇」「女性だけのミュージカル劇団」という意味で命名。会社員もいれば舞台俳優を目指す人もいるというメンバーは、30代の女性12人で構成。男役と女役に分かれ、オリジナル作品を年4本程度披露している。都内の小劇場を中心に活動するが、節目の年ということもあり、劇団発祥の地・埼玉での上演を決めた。
「辺獄~」は23年初演の作品をスケールアップして再演。架空の詩人・立花潮(うしお)の半生を描く物語だが、男性と思われていた詩人が実は女性だったという設定。奔放に生きる男の潮、家庭に縛られる女の潮という二つの世界が交互に展開していく。舞台は大正時代で、女性向けの雑誌創刊や関東大震災など、史実も盛り込まれた歴史ミュージカルだ。
男女の潮を演じる川女卒業生の新井志啓(しひろ)さん=吉見町出身=は「女役と違い、男役には足を広げて座るなどの解放感がある。けれどこれって家にいる時の自分だよな、と気付いた。今は自分の中にある男と女の部分をそのまま出しています」。同じく川女卒業生でメンバーの荒木愛実さん=坂戸市出身=は「モノムジカの作品は、性別や社会的役割にとらわれず、登場人物の個性や魂を描いており、そこが魅力」と語る。
ヤマケイさんは「モノムジカのテーマは『人間賛歌』。単一だからこその表現の広がり、自由さを感じてほしい」と話した。チケット(全席指定)は20周年記念席2千円など。
問い合わせは、特設サイト(https://www.mono-musica.com/hngk20)へ。