立てこもり男を再逮捕 理学療法士の男性を射殺しようとした疑い「人に向け撃った。殺すつもりなかった」
ふじみ野市大井武蔵野の住宅で1月、医師らが散弾銃で撃たれて死傷した立てこもり事件で、医師らとともに容疑者方を訪れた理学療法士の男性(41)=さいたま市西区=を射殺しようとしたとして県警東入間署捜査本部は18日、殺人未遂の疑いで、無職渡辺宏容疑者(66)=殺人容疑で送検=を再逮捕した。捜査関係者によると、渡辺容疑者は「殺すつもりはなかった。人に向けて撃ったことは間違いない」と殺意については否認しているという。
再逮捕容疑は、1月27日午後9時ごろ、渡辺容疑者の自宅で理学療法士の男性の上半身に向けて散弾銃1発を放ち、殺害しようとした疑い。
捜査関係者によると、銃弾を受けた男性は多発肋骨(ろっこつ)骨折や肝臓損傷など全治不詳の重傷で入院中。搬送後に緊急手術を受けて、一命は取り留めているという。理学療法士の男性は、射殺された医師の鈴木純一さん(44)が関わっていた在宅クリニックの関係者で、事件前日に亡くなった渡辺容疑者の母親(92)の治療で携わっていたとみられる。
事件当日、渡辺容疑者は、「線香をあげに来てほしい」などと鈴木さんや男性ら医療関係者7人を指定して弔問名目で呼び出し、母親の蘇生措置を頼んだ。鈴木さんが丁寧に説明して断ると散弾銃を取り出し、至近距離から発砲。同じ銃で立て続けに男性を撃ち、医療相談員男性に催涙スプレーを噴射、別の銃で同席していた別の医療相談員に向けて発砲したとみられている。渡辺容疑者は散弾銃2丁を所持していた。
また、渡辺容疑者が自宅に包丁やサバイバルナイフなど数十本と猟銃用の弾を百数十発保管していたことが新たに分かった。
渡辺容疑者は鈴木さんや男性らを散弾銃で撃つなどした後、鈴木さんを人質に約11時間立てこもり、1月28日朝に突入した県警の捜査員に身柄を確保された。