温水プールの運営を来年12月までに終了 建物の維持にかかる財源確保が困難と判断 埼玉・皆野 1992年に開館、25メートルプールや子ども用プールなど 廃止後は近隣市のプール利用補助など検討
埼玉県皆野町の黒沢栄則町長は10日、老朽化が進む同町皆野の温水プール施設「ふれあいプール・ホット」(町勤労福祉センター)の運営を来年12月までに終了する方針を示した。建物の維持管理にかかる財源確保が困難と判断した。来年の3月定例町議会に廃止の条例案を提出する。
1992年に開館した施設は、25メートルプールや子ども用プール、採暖室などが備わる。通年営業のため、秩父地域外からの利用者も多く、小中学校の授業や地元の水泳教室などにも活用されている。
2022年12月に前町長が施設の運営を2年以内に終了する方針を発表。町はその後、利用団体との意見交換会や町民説明会などを開き、現在までの経営状況や運営終了後の代替えサポート策などを説明してきた。
町教育委員会によると、施設運営を継続させていくために必要な改修費は概算1億円。ここ数年の施設利用者は年平均約2万人で、年間4千万~5千万円の収入不足が生じている。限られた財源の中で町民らに機会を提供していくため、町は施設廃止後、秩父市温水プールの利用を補助するなど、持続可能なサービスへの組み替えを検討している。
黒沢町長は10日、町議会12月定例会の開会あいさつで、「少子高齢化に起因するこれからの諸課題に対応していくためには、既存のサービス見直しが不可欠。施設廃止の条例案提出の前に、意見などを頂く期間を設け、より丁寧に進めたい」と述べた。
22年に町が運営終了の方針を発表した後、町民らは施設運営継続を求める約8千人分の署名を町に提出している。
施設を10年以上利用している町内の70代男性は「人件費の削減や、高齢者割引の廃止など、プールを維持させるための努力が一切行われなかったのが残念」と落胆。70代の女性は「子どもたちが使えなくなるのが一番の心配。年々猛暑が厳しくなり、水泳の授業で熱中症を防ぐためにも、温水プールは残してほしい」と話した。