埼玉新聞

 

恐怖…トイレから引きずり出された男性、殴られ監禁 「生きて帰れないかもしれません」と襲った2人、法廷で謝罪「力を緩めて殴った」 “ゴッサム”“アカニシ”の指示 弁護士「目を覆うほどの暴行ではない」

  • 男性が襲われた仮設トイレ=10日、さいたま市西区の西遊馬公園

    男性が襲われた仮設トイレ=さいたま市西区の西遊馬公園

  • 【地図】さいたま市西区

    事件が起きたさいたま市西区

  • 男性が襲われた仮設トイレ=10日、さいたま市西区の西遊馬公園
  • 【地図】さいたま市西区

 闇バイト応募者の男性=当時(34)=を車に監禁したとして、逮捕監禁、恐喝未遂の罪に問われた東京都小平市、無職の男(25)と住所不定、無職の男(21)の初公判が12日、さいたま地裁(中川卓久裁判官)で開かれ、両被告は起訴内容を認め、「やめたら同じことを自分がされると思った」などと供述した。検察側はそれぞれ懲役3年と懲役3年6月を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求め即日結審した。判決は23日。

 検察側の冒頭陳述などによると、両被告は交流サイト(SNS)で闇バイトに応募し、「ゴッサム」「アカニシ」などと名乗る指示役の指示を受け、埼玉県さいたま市西区の西遊馬公園内の仮設トイレに呼び出された男性に腹を殴るなどの暴行を加え、車に監禁。車内では指示役が通話で、他の組織で闇バイトをしようとしたととがめ、「生きて帰れないかもしれませんよ」と脅し金銭を要求。男性がキャッシュカードを取りに自宅に戻った際、母親が110番した。

 男性は供述調書で、携帯電話を購入する闇バイトを行い、購入費用の受け渡しのため呼び出されたと説明。被告らに暴行を促した指示役に「恐怖を感じた」と振り返り、「逆らえないことは共感するが、反省や更生のため、処罰してほしい」と厳罰を望んだ。

 被告人質問で、犯行について、25歳男は「債権回収みたいな内容」、21歳男は「ATMを操作する男を監視する仕事」と聞かされていたと説明。21歳男は男性を殴るよう指示され、「本気ではなく力を緩めて殴った」と強調し「怖い目に遭わせ申し訳ない」と謝罪した。

 検察側は論告で「実行役の謀反を防ぎ、強盗や特殊詐欺などの遂行を可能とするための犯行」と指摘。闇バイト犯罪の頻発に懸念を示し、「加担した者に厳罰をもって臨む必要性が大きい」と主張した。一方、両被告の弁護側は「目を覆うほどの暴行はしていない」「指示通りの行動にとどまる従属的な立場だった」などと寛大な判決を求めた。

 起訴状などによると、両被告は氏名不詳者らと共謀して8月27~28日、西遊馬公園の仮設トイレで男性を引きずり出して暴行し、乗用車の後部座席に押し込んで数時間監禁。車内で男性に「よその案件やってましたよね」「今日生きて帰れないかもしれませんよ」などと言い、現金を脅し取ろうとしたとされる。

■「とくりゅう」内のトラブルか(以下、逮捕記事)

 さいたま市の公園で男性に暴行を加え、車に乗せて監禁したとして、県警捜査1課と大宮西署は10月10日までに、強盗致傷と逮捕監禁の疑いで、東京都小平市小川東町、無職の男(25)と、住所不定、職業不詳の男(21)を逮捕した。男性も男2人も交流サイト(SNS)で闇バイトに応募し、アプリを通じて指示を受けていた。県警は8月から関東で相次いで発生している闇バイトが関係した強盗事件との関連の有無を捜査している。

 逮捕容疑は共謀し、8月27日午後8時20分ごろから翌28日午前1時5分ごろにかけて、さいたま市西区の西遊馬公園内にある仮設トイレで、西区の派遣社員男性(34)をトイレ内から引きずり出すなどの暴行を加えて腕にけがを負わせ、男性が持っていたスマートフォンなど(計8万円相当)を奪い、乗用車の後部座席に押し込んで数時間監禁した疑い。県警は共犯事件のため、2人の認否を明らかにしていない。男性と男2人はいずれも面識がなかったという。

 同課によると、男性は事件前にSNSで闇バイトに応募。指示役から秘匿性の高い通信アプリを通じて、スマホを購入し、事件現場の仮設トイレへ行くように指示されていた。報酬を受け取るために同所へ向かったところ、被害に遭ったという。男性への報酬はなかった。スマホは犯行ツールとして使う目的で購入させたとみられている。

 無職の男らも指示役から同様のアプリを通じて男性を暴行、監禁するように指示を受けていたという。

 県警は、事件の背景に匿名・流動型犯罪グループ内のトラブルがあったとみて、指示役などの共犯者が複数いるとみて捜査している。
 

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