熊谷の常光院、県内最大級のかやぶき屋根ふき替え 30年ぶり3年計画、来年1月までクラウドファンディング実施
熊谷市上中条の常光院本堂(市指定有形文化財)でかやぶき屋根のふき替えが約30年ぶりに行われている。県内最大級のかやぶき屋根で、3カ年計画の工事は現在、破損が著しい正面の修理を実施中。7日は研修会が行われ、関係者が工事現場を見学し、今では珍しくなったかやぶき屋根のふき替えの知見を深めた。
常光院本堂は1691(元禄4)年に木造平屋かやぶき屋根の本堂が再建されたと伝わる。屋根の大きさは正面が約22メートル、側面が約17メートルに及ぶ。屋根は1993年に全面ふき替え工事が実施されているが、近年は経年劣化が著しく、堂内にも雨漏りが生じる状況だった。歴史的建造物の調査研究を専門とするものつくり大学横山研究室が保存修理工事の設計監理と調査研究を担当することになった。
現在ではかやぶきの建物が県内でも減っている実情から、設計や施工監理を行う建築士もかやぶき屋根の構造や施工方法についてはほとんど経験がないのが現状という。横山晋一教授と工事施工者の熊谷産業(宮城県石巻市)が埼玉建築士会の支援を受けて研修会を実施することにした。
研修会では同社の担当者がかやぶき屋根の構造や作業工程などを説明し、「カヤは1年ほどで収穫できるサステナブルな建築材料」と強調した。同会の会員など約30人が参加し、参加した同会の丸岡庸一郎会長(65)は「どんな建物もメンテナンスが重要で、手を加えることで寿命を延ばすと思った」と語った。
6日からは賛同者から寄付を募る「クラウドファンディング(CF)」も開始。期間は来年1月31日までで、目標金額は200万円。返礼品はオリジナルの御朱印やお守りなどを用意している。横山教授は「地元の歴史遺産なので、ぜひ多くの人に継承に協力してもらえれば」と話した。
CFの詳細はホームページ https://x.gd/XP8iVへ。