埼玉新聞

 

女に罰金10万円…犬2匹に“狂犬病”予防接種を受けさせず 無職の40歳、動物飼養施設の責任者だった 親族男性と餌や水を与えずに衰弱させた疑い…2人とも不起訴に

  • 現場となった動物繁殖施設=14日午前、毛呂山町

    現場となった動物繁殖施設=6月14日午前、毛呂山町

  • 男が運営していた飼育施設=27日午前10時ごろ、毛呂山町

    男が運営していた飼育施設=6月27日午前10時ごろ、毛呂山町

  • 【地図】毛呂山町

    事件があった毛呂山町

  • 現場となった動物繁殖施設=14日午前、毛呂山町
  • 男が運営していた飼育施設=27日午前10時ごろ、毛呂山町
  • 【地図】毛呂山町

 毛呂山町内の動物飼養施設で、繁殖のために飼育していた犬に対して狂犬病の予防接種を受けさせなかったとして、同施設の動物取扱責任者の女が書類送検された事件で、飯能区検は16日までに、狂犬病予防法違反の罪で、無職の女(40)を飯能簡裁に略式起訴した。処分は11月27日付。同簡裁は今月5日付で、罰金10万円の略式命令を出した。

 起訴状などによると、女は昨年4月1日~6月30日までの間、飼育していた犬2匹に対して狂犬病の予防接種を受けさせなかったとされる。

 また、さいたま地検は16日までに、飼養していた別の犬1匹に対して、餌や水を与えずに衰弱させた動物愛護法違反(虐待)容疑については、同様に書類送検された親族男性とともに不起訴処分とした。

■男性は罰金40万円、犬を窒息死させ(以下、書類送検時の記事)

 毛呂山町内の動物飼育施設で、繁殖のために飼育していた犬に対して虐待をするなどしたとして、県警は8月1日、動物愛護法違反(虐待)の疑いで、同町西大久保、元動物販売業の無職男性(81)をさいたま地検川越支部に書類送検し、同法違反と狂犬病予防法違反の疑いで、同施設の動物取扱責任者の親族女性(40)を同支部に書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。

 書類送検容疑は5月12日、自宅敷地内にある動物飼育施設で飼育していた犬1匹に対して、餌や水を与えずに衰弱させ、また、親族女性は昨年4月1日~6月30日までの間、犬2匹に対して狂犬病の予防注射を受けさせなかった疑い。2人は容疑を認めているという。

 捜査関係者によると、虐待されていた犬は、男性らに繁殖に使えなくなった犬と判断され、同施設内にある目印が施されたケージに入っていた。虐待について男性は「いらなくなった犬だった」などと供述しているという。また、予防接種を受けさせなかった理由について、親族女性は「(元動物販売業者に)従っていた」などと供述しているという。

 男性は6月、繁殖のために飼育していた犬を窒息死させたとして、動物愛護法違反で逮捕された。その後略式起訴され、川越簡易裁判所から罰金40万円の略式命令が出されていた。

■気軽な「衝動買い」問題 愛護法、守られない実態も

 6月に実質的な経営者の男が逮捕され、廃業届が出された毛呂山町内の動物飼育施設。県生活衛生課によると、飼育していた犬約200頭のうち4分の3は県の保健所が保護し、動物愛護団体の協力を得て里親などの引き取り先が見つかったが、残りは同施設に残っているとみられる。

 俳優の杉本彩さんが理事長を務める公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」の松井久美子事務局長は「需要があるからペットショップやオークションが存在する。気軽に幼齢動物を衝動買いできる環境をなくさなければ」と訴える。

 2019年の改正動物愛護法は生後56日以内の販売禁止や、繁殖の年齢上限などを設け、動物虐待の罰則も強化。しかし「全国の犬猫を扱うブリーダーやオークションで規制が守られていないという調査結果がある。売れ残りや繁殖期間が終わった犬猫を保護犬、保護猫に出すなどビジネスに利用している実態もあり、受け皿があると規制を強化しても何も変わらない」と言う。

 同団体は行政に改善を要望する活動も行う。事務局の木野内晃子さんは「何度立ち入りしても虐待を見逃していた自治体もあった。適切な行政指導、処分をしてほしい」と強調した。 
 

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