埼玉新聞

 

<新型コロナ>埼玉まん延防止、延長を要請 病床使用率50%超、オミクロン株の特性を踏まえていない基準

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 県は2日、適用期限が6日に迫った新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置について、15日(3月21日まで)以内の延長を政府に要請した。大野元裕知事は措置延長と共に、飲食店への制限を前提とした政府の基本的対処方針の見直しも要望。多くの指標が政府の同措置適用要件を下回る一方、「10万人当たりの新規陽性者数や一般病床の占有率は措置適用の要件に当たる」とし、引き続き措置を継続する必要があるとの考えを示した。

■飲食店への制限見直しを

 政府への要請では15日以内の措置延長や、措置実施の必要がなくなった場合は速やかに措置を終了することを要望。また、現在は飲食店への制限を講じることを前提としている基本的対処方針について、知事は「飲食店での感染は全ての感染経路の中で、最も顕著に減少している。(措置要請基準は)オミクロン株の特性を踏まえておらず、適正とはいえない」と述べ、知事の権限で制限を緩和できるよう、改正することを求めた。

 まん延防止等重点措置は1月21日から2月13日まで、全県を対象に、飲食店の時短営業要請など同措置による感染防止策を実施。感染の勢いが続いたことから2月14日以降も措置が延長され、6日が期限となっていた。

 県内では第6波が始まった今年1月初めから2月にかけて新規感染者が急増。2月5日は過去最多の7353人が確認され、これ以降も1日の新規感染者が3千~6千人台の「高止まり」で推移する状況が続いている。新規感染者増に伴って医療提供体制の逼迫(ひっぱく)も続いており、1日時点の県内確保病床使用率は56・1%(1236人/2202床)。一方、重症病床は23・4%(56人/239床)で昨夏の第5波時に比べ、低い使用率で推移している。

 知事は県内の現在の感染動向について「第6波のピークは超え、穏やかながらも新規陽性者数は減少している」と説明。3日に県の専門家会議を開き、現状の分析について判断を仰ぐほか、政府が措置延長を決定した場合に必要となる感染防止対策について意見を求めるとした。

 県は2日、千葉、東京、神奈川各都県と共同で、まん延防止等重点措置の延長を要望した。各知事連名の要望書で、病床使用率が50%を超え、高齢者を中心に重症者が増加し医療提供体制が逼迫しているとした。

 東京都の小池百合子知事はこれとは別に、まん延防止措置の解除基準を明確化するよう国に要請。状況次第では、適用期間内でも都の意向を踏まえて前倒しで解除するよう求めた。神奈川県の黒岩祐治知事は、県庁で記者団に「ここで(対策を)緩める判断はなかなかできない」と説明。延長期間は1都3県で意見が分かれたため、国に判断を任せることにしたと明かした。

 千葉県の熊谷俊人知事は要請後、報道陣の取材に「感染者が依然として高い水準にあり、病床使用率も横ばいだ。延長はやむを得ない」と述べた。県内の飲食店に対する時短営業の要請も継続するとした。

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