埼玉新聞

 

大宮に雑貨店、つながりや経験なく開業 自分の店を持ちたい…「安泰な道でなく面白そうな道を」と決断

  • 「出会いを重ねて4年間歩んできた」と話す店主の後藤利恵子さん=さいたま市大宮区大門町

 さいたま市大宮区の大宮駅から氷川神社に向かう「一の宮通り」に構える雑貨店「gоtо」。店主の後藤利恵子さんが2018年5月に開業し、自身がセレクトした作家の陶器や小物、絵、アクセサリー、織物などさまざまな作品を販売している。

 後藤さんは、学生時代にアルバイトしていたカフェギャラリーを引き継ぐため、勤めていた仕事を退職したが、準備の最中でその話が白紙に。当時50歳、今後の道を模索していた後藤さんは「自分の店を持ちたい」と一念発起し、開業に向けて動き出した。

 作家とのつながりも物販の経験もなく、全てが手探り状態のスタートだった。そんな中、かつて勤務していた東京・銀座の「新井画廊」の協力により、18年2月に企画展「ふとした出逢い」を開催。県外の陶器市に足を運んで気になった作家や、新聞記事で紹介されていた木彫作家などにアプローチし、3人の作品を紹介した。

 企画展を経験して店を持って生活していく難しさを感じ、一度は開業を諦めた。別の仕事に就こうと考えていた時、半年前に店舗の相談をした不動産会社から、気になっていた物件をオーナーが貸しに出すとの連絡が。後藤さんは「安泰な道ではなく、面白そうな道を選ぼう」と、現在の場所に店を出すことを決めた。

 最初は作品がなくすかすかだった店内も、開業してから4年間で一人、また一人と作家との出会いを重ね、今ではスペースが足りないほどに。「一人で始めた店だけど、多くの皆さんに見守られ、応援を受けながらここまで歩んできた」と振り返る。

 8日から13日まで、東京都中央区銀座の新井画廊で出張雑貨店「ふとした出逢いをかさねてみたら」を開催。20人以上の作家たちによる陶器や木工、革、織物など、作品の展示販売を行う。開催時間は午前11時から午後7時(最終日は午後5時)。

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