埼玉新聞

 

庄野真代さんらのコンサートも 大震災11年で追悼交流会、埼玉・加須で避難者ら顔合わせる #知り続ける

  • 交流会で『花は咲く』を鑑賞する参加者ら=11日午後、加須市根古屋の騎西文化・学習センター

 東日本大震災から11年がたった11日、加須市根古屋の騎西文化・学習センター(キャッスルきさい)で追悼交流会が行われた。交流会の主催は特定非営利活動法人NPO埼玉ネット。福島第1原子力発電所による事故の影響などで加須市に住む双葉町からの避難者の他、浪江町やいわき市からの避難者が集い顔を合わせた。埼玉ネットは、交流会以外でも、個別に避難者の自宅などに訪問を行い、見守り活動などを実施している。

■庄野真代さんコンサート

 キャッスルきさいには、30人以上の避難者が集い、交流会を楽しんだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、集まって交流を行うのは2020年11月以来。交流会では、シンガーソングライター庄野真代さんらによるミニコンサートなどが実施され、参加者らは『花は咲く』やゴスペルなどを手拍子などを交えて鑑賞した。

 午後2時46分、集まった人らは黙とう。被災者らはそれぞれの思いを持って祈りをささげた。

 交流会に参加した小丸栄子さん(88)は双葉町からの避難者。震災当時、津波に巻き込まれ、口のあたりまで水が来たという。「木にしがみついて水が引くまで漬かっていた」と当時を回顧。「あの恐怖感は一生忘れない」と強く語る。

 小丸さんは避難後、故郷に戻ったのは3回のみ。「帰れるなら帰りたい」とこぼすが、「(埼玉は)意外と福島県出身の人が多い。親切にいろいろ教えてもらって助かっている」と話す。

■受援者から支援者へ

 コロナの影響で、1カ所に集い交流会を行うことは頻繁にできていない。そのため、埼玉ネットは週に1度、避難者の自宅や、畑仕事をしている人らのところに訪問する活動を行っている。少なくとも月に1度は顔を合わせるように訪問しているという。

 訪問は見守り活動も兼ねて行う。小売店からもらった廃棄寸前のパンを配ったり、相談を受けたりするという。小丸さんは「話したり、病院にも連れてってもらった」と活動に感謝を示す。

 埼玉ネット代表の松尾道夫さんは「訪問している人の半分は避難してきた人。避難してきた気持ちが分かる人がいる」と活動の強みを語る。活動のモットーは『受援者から支援者へ』。手厚い支援に感謝している人の声も多い。

 双葉町から避難してきた女性(60)も訪問活動参加者の1人。毎週10人前後の人にパンを配り雑談などをする。「喜んでいる人の声をよく聞く。訪問することで元気でいるんだなと確認できる」と話し、「今後も続けたい」と意気込む。

 松尾さんは「(震災から時間が立って)落ち着いてきたが、まだ全てが解決したわけではない。年も取ったしいつまで続けられるか分からない。日々活動できるような体制を作りたい」と語った。

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