60年ぶり見直し…「埼玉県収入証紙」廃止へ DX、キャッシュレスの時代 県庁すでに動き出していた
大野元裕埼玉県知事は17日、県議会予算特別委員会で自動車運転免許の更新手数料などで現金の代わりに収める「埼玉県収入証紙」を、2023年度中に廃止する方向で検討を進めていることを明らかにした。予算特別委の総括質疑で、中屋敷慎一議員(自民)の質問に答えた。県のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進やキャッシュレス決済普及拡大などを受けた対応。大野知事は「DX推進のみならず、社会情勢を踏まえると制度を根本的に見直し、時代に合った形に改める時期を迎えている」と答弁。県証紙制度が、約60年ぶりに見直されることとなる。
県出納総務課によると県収入証紙は1964(昭和39)年の県証紙条例で定められ、県の税外収入である県立高校の入学試験手数料やパスポートの交付手数料、自動車運転免許更新手数料など550の手数料を納める際、現金の代わりに申請書類に貼付するなどして活用されてきた。
県では埼玉古墳群稲荷山古墳出土の「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」や川越市の「時の鐘」「長瀞の岩畳」「秩父夜祭」など六つのデザインで金額別に18種類の証紙を発行。県内市役所や町村役場、県指定金融機関などで販売されてきた。
現金を取り扱わずに済むことによる窓口業務負担軽減や、利用者にとっては申請書などを郵送できるなど利点がある一方、決済方法のデジタル化が進む中、証紙の販売場所が限られるなど、手数料などの納入方法について検討すべき課題があるとの指摘も出されていた。
見直しに当たって大野知事は「長い間、証紙を利用してきた県民が混乱を避けるため周知を徹底し、手数料ごとの実情に応じた収納方法の検討が必要」と答弁。県庁内に検討会議を立ち上げ、証紙廃止に伴う収納方法や、課題解決に向けた検討を既に実施しているとした。
同課によると東京、大阪、広島、鳥取の各都府県では既に証紙を廃止している。