埼玉新聞

 

新鮮な野菜、24時間いつでもどうぞ 埼玉・幸手に農作物の自動販売機、コロナで売り上げ低迷の農家を支援

  • 幸手市コミュニティセンターに設置された農作物自動販売機

 JA埼玉みずほ(本店・幸手市)は、地元産の新鮮な野菜などを24時間いつでも購入できる農作物の自動販売機を幸手市内に3台設置した。県ビジネス支援課によると、生産農家や企業が自動販売機を設置する事例は県内でもあるが、JAが取り扱うのは珍しいという。

 新型コロナウイルス感染拡大により、同組合が市内で運営する農産物直売所「さくらファーム」への来客も減少し、売り上げも低迷。市の主要事業である権現堂の桜まつりも中止となり、売り上げに影響が出た。今年度の売り上げは感染拡大前の最盛期に比べ5千万円近く減少。210人いる会員農家の経営にも影響しているという。農家を支援するため、非接触型の24時間無人で農産物を販売できる自動販売機の設置を決め、幸手市農作物自動販売機購入費補助金約700万円を活用した。

 導入した自動販売機は、透明な扉から中の商品が見え、設定金額を投入すると商品が取り出せるロッカー型で、最大20個収納できる。外付けで低温空調機を設置しているため、ロッカー内の温度調節が可能だ。

 直売所に納品された農産物を朝収納し、昼と夕方に在庫を確認して補充する運用方針で、店頭と同価格で販売する予定。反響を見ながら、品揃えや運用などを見直していく。幸手市コミュニティセンターとJA埼玉みずほ本店駐車場の2カ所に計3台設置している。

 中田辰雄営農販売部長は「地元産の野菜を知ってもらい、農協や直売所への出荷を盛り上げていくツールとして期待している」と語った。同組合が配布した農作物自動販売機設置のチラシを見たという市内の女性(70)は「手に取って野菜を確認できないのが少々難だが、利用してみたい」と話していた。

ツイート シェア シェア