引きこもり予防に健康eスポーツを リアルとバーチャル組み合わせ、認知機能や精神疾患などの向上に期待も
一般社団法人「日本ソーシャルeスポーツライフ」(JSeL)は、誰でも簡単に参加できる「健康eスポーツ」を発案した。コンピューターゲームをスポーツ競技として捉えるeスポーツを、高齢者などなじみのない人でも楽しめるコンテンツにした健康eスポーツ。コロナ下の健康維持や人との交流促進などに期待されている。同団体は「eスポーツを興味の一つとして持ってもらえれば」と話している。
2019年10月に設立されたJSeLは、「体を動かすeスポーツ」を提案し、高齢者などの健康や交流などを向上させ、社会問題の解決の一助となることを目指している。
同団体が商標登録した「健康eスポーツ」は、スマートフォンやゲームコントローラーを使ったゲームではなく、実際に体を動かして遊ぶ仕様になっている。
健康eスポーツの主なコンテンツは、仮想現実(VR)空間を壁面に映して遊ぶ「まとあてはなび」。壁に花火の筒を映し、筒に球を当てると花火が上がり、点数が入る仕組みで、時間や投げる距離などの制限がないため、子どもとお年寄りなど、力の差がある人同士でも、工夫して遊べる。輪投げやボッチャを参考にしており、「誰もが即参加できる簡単なコンテンツ。リアルとバーチャルを組み合わせたゲームで、健康を促進することを重要視している」と同団体は語る。
JSeL代表理事の秋本佳之さんは、「eスポーツと聞くとゲームコントローラーなどを思い浮かべるかもしれないが、健康eスポーツはオフラインでその場に来て遊べる」と魅力を紹介する。実際に適度に運動することで、心や身体の健康維持ができるほか、1カ所に人が集まって遊ぶことで、人同士の交流が生まれたり、高齢者の引きこもりなどを予防する可能性も考えられるという。
基礎理学療法学などが専門の埼玉県立大学の国分貴徳准教授は「映像と身体運動が連動する相互性を有している点が大きな特徴」と分析。「コロナ禍などで引き込まらざるを得ない人々の身体的健康と認知機能や精神疾患などを健全に維持し、内容によっては向上させる効果も期待できる」と話す。
秋本さんは健康eスポーツについて、「病気予防などの目的も込められ、生きる目的のようなものを、コンテンツを通じて見つけてもらえれば」と参加の輪が広がることを願っている。