埼玉新聞

 

「菜の花米」登場、無化学肥料で栽培 埼玉・川越の若手農家、城西大協力でブランド化 菜の花に除草効果が

  • 減農薬、無化学肥料で育てた彩のかがやきと「菜の花米」のパッケージ

  • ブランド化した米の販売を始める田中洋史さん(中央右)、協力した辻智佐子教授(同左)と「Tomozy’s Farm」のスタッフ=川越市下小坂

 川越市の若手米農家、田中洋史さん(37)が減農薬、無化学肥料で栽培した「菜の花米」を、母校である城西大学(坂戸市)の学生などに協力を得てブランド化。500グラムの小袋にして、今春から販売を始める。田中さんは「川越のお米を地域の特産品に育てたい」と夢を抱く。

 田中さんは同市下小坂で明治から続く農家の6代目。ただ、農業に携わっていたのは4代目の祖父知二さん(92)までで、自身も大学卒業後は川越地区消防組合に就職。13年間勤務した。だが、少年時代から農業への憧れを抱いていたため、組合を退職して就農を決意。2020年4月、専業の米農家「Tomozy,s Farm」として再出発した。名称は引退した尊敬する知二さんにちなむ。

 新たに市内の大東地区で耕作放棄地だった水田を借り、そのうち2・5ヘクタールは菜の花を使って減農薬、無化学肥料の米を作ることにした。田んぼに鋤き込まれた菜の花は、腐るときに除草効果がある有機酸を放出するという。田中さんは20年秋に菜の花の種をまき、準備をスタート。21年春に彩のかがやきの苗を植え、秋に約6トンを収穫した。

 次の課題は、販売方法だ。田中さんは学生時代のゼミで指導を受け、卒業後も交流があった城西大学経営学部の辻智佐子教授(52)に相談。現役のゼミ生が協力することになった。辻教授は「貴重な学習機会になるので、学生たちも巻き込んだ」と話す。

 検討を重ね、対象は健康に敏感な女性とし、持ち帰りやすい重さ500グラムに設定。袋には辻教授が描いた菜の花のイラストを使い、「菜の花米」の文字は田中さんが子どもの時に習った地元の書家樫又閑村氏に依頼した。

 米は3月末ごろから、市内のカフェなどで販売予定。発売期間限定価格は税込み500円。

 将来は農場の法人化を目指す田中さん。「皆さんの体に入るものを作る大切な仕事。農業がもっと評価されるようにしたい」と目標を語った。

 菜の花米の問い合わせは、田中さん(電話080・1236・8659)へ。

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