小4息子死亡、ひき逃げで…全会一致で「ひき逃げ時効撤廃」求めた県議会に母感謝 時効撤廃した殺人に匹敵
県議会2月定例会は25日、議員提案の「死亡ひき逃げ事件における公訴時効撤廃に向けた法整備等を求める意見書」を全会一致で採択した。
意見書では、2009年9月に熊谷市内で発生した小学生死亡ひき逃げ事件の犯人が検挙されておらず、捜査が継続している事実を指摘。
殺人罪や強盗殺人罪はすでに公訴時効が廃止されている一方、死亡ひき逃げ事件では撤廃されていないことに触れ「仮に加害者が救護措置義務を速やかに履行すれば被害者が亡くならずに済んだ事案も少なからずあったと推定される。故意に逃走を図った点では殺人罪にも匹敵する」と死亡ひき逃げ事件を厳しく非難している。そのため国に対し、ひき逃げ事件などの公訴時効の撤廃を検討すること、過失運転致死罪の法定刑の上限を引き上げることで、危険運転致死傷罪との不均衡を是正することなどを求めた。
提案者の一人の中屋敷慎一議員(自民)は記者団に「事故後、逃げてしまうのは人道的に考えて問題。法体系の中で今のままでは難しい部分もある。国に対し、投げ掛けをしたい」と述べた。
■遺族、意見書の可決「法改正につながる」
熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡したひき逃げ事件は未解決になっている。事故は同市本石の路上で発生し、孝徳君は書道教室から自転車で帰宅している途中で事故に遭った。16年に道交法違反(ひき逃げ)の時効が成立。県警は自動車運転過失致死罪の時効目前となった19年9月、罪名を危険運転致死罪に変更し、捜査を継続することになり、時効は10年延長された。
意見書の可決を受けて、県議会のインターネット中継を視聴していたという孝徳君の母親は「死亡ひき逃げ事件を重く捉えてくれたことに感謝したい。全員が賛成してくれたことも本当にありがたく、法改正や法整備への一歩につながる」とコメントした。