埼玉新聞

 

マツコ・デラックスが絶賛! カルビー、湖池屋にできない「ポテチ」、埼玉・八潮の菊水堂が実現 注文殺到

  • 「ジャガイモは品種や産地などで味の異なる時もある。食べ比べも楽しんでもらえたら」と話す岩井菊之社長=八潮市垳

 カルビー、湖池屋と大手2社が市場の約9割を占めるポテトチップス業界。そんな中、大手にはできない「速さ」「出来たて」を追求し、独自のブランドを確立した。

 現在の岩井菊之社長(65)は2代目。1953年に父親の清吉さんが瓦煎餅で創業。2000年からポテトチップスの製造販売に一本化した。主な売り上げの柱は、生活協同組合の宅配、土産品、ネット通販。ポテトチップスは1袋(120グラム)が税込み330円。自社工場でジャガイモの皮むきからフライ、味付け、梱包(こんぽう)まで全工程を行い、1日平均1万4千袋を出荷する。

 消費者に届くまでの速さが最大の強みだ。ジャガイモがポテトチップスに生まれ変わり、トラックに積まれるまで約30分。原則その日のうちに出荷し早ければ翌日には消費者の元に届く。大手が製造から店頭に並ぶまで1~2週間かかるのに対し、大幅な時間短縮で、できたてを味わえる。

 こだわりは材料にもある。使うのはジャガイモ、油、塩の三つのみ。イモ本来のうま味を存分に味わってもらうため、添加物を極力加えず、シンプルを追求する。塩加減や揚げ時間は創業当時から蓄積されたノウハウを生かし、「素材のうま味を最大に引き出すのが腕の見せどころ」と岩井社長は自信を見せる。

 振り返ると山あり谷ありの連続だった。どん底は11年の東日本大震災。東北の高速道路サービスエリア向けご当地チップスを製造していたが、売り上げが激減。会社も大きなダメージを受けた。明るい光が見え始めたのは、それから4年後の15年。テレビ番組でタレントのマツコ・デラックスが絶賛すると、1日で、当時の1カ月分に相当する2万件の注文が殺到。それから徐々に認知度と人気が広がり、今では全国のファンを獲得している。

 だからといって、歩みを止めるわけにはいかない。次の挑戦は新しい味の開発だ。シンプルさを残しつつも、何か一つを加えることで「また違った味わいが生まれるのではないか」と岩井社長。具体的な味は企業秘密だが、「皆さんをもっと幸せにするポテトチップスを生み出したい」。ふつふつと情熱を燃やしている。

■岩井菊之社長の話

 いつまでも愛され、食べ続けられるおいしいポテトチップスを作りたい。子どもたちにも添加物のない安心を提供したい。

■所在地

埼玉県八潮市垳58

電話048・995・5311

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