独特の食感、シフォンケーキも人気 地場産の米粉でブランド創出を…埼玉・春日部市が実験 学校給食にも登場…結実した定番商品も 市産の米粉使ったメニュー、イオンモール春日部内で限定販売 2月11日まで
地場産の米粉を使った食のブランド創出を目指す埼玉県春日部市の実証実験が3年目を迎えている。市と農業・商工関係団体、食品・飲食業者、学校が連携し、普及に向けて米粉適性米の栽培から製粉、商品開発まで協力して推進。これまでの取り組みが実を結び、定番商品も生まれている。
実証実験は2022年度、高齢化や後継者不足に悩む米農家の支援を目的に始まった。主食用米の価格下落を受け、アレルギー対策で小麦粉の代替原料として利用されている米粉に着目。これまで培った稲作技術を継承できる点も考慮した。
市農業振興課によると、栽培している米粉適性米は米粉麺用の「亜細亜のかおり」と、パンや菓子に適した「笑みたわわ」の2品種で、本年度の栽培面積と収量はそれぞれ33アール2060キロ、37アール2730キロだった。
商品の試作用として10キロを上限に米粉を無償提供し、本年度は17事業者がクッキーやチーズケーキ、ようかんなどを開発。さらに定番商品として販売する11事業者を登録し、毎月12キロを上限に供給している。市内の学校給食にも米粉を使ったクラムチャウダーやパンが登場した。
春日部市役所1階に併設された「カフェブルーミーズ春日部」は、米粉を使ったシフォンケーキを販売している。「普通のシフォンケーキとは違った独特の食感が人気を得ている。ケーキの材料としても使いやすい」と店長の高橋千春さん(27)。
商品化を進めながら、将来的には市が管理している米粉を市場に流通させて一般家庭への浸透を図る方針だが、小麦粉に比べて割高で安定供給が難しいなどの課題も実証実験で浮かび上がった。
同課は「米粉の普及には栽培面積の拡大が欠かせない。そのために、もちもちとした食感やグルテンフリーといった付加価値をPRするとともに、統一したネーミングやロゴマークの作成など、ブランド化に向けた取り組みも進めていきたい」と話した。
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春日部市下柳のイオンモール春日部内の3店舗で2月11日まで、春日部市産の米粉を使ったメニューの限定販売キャンペーンを開催中。1月26日には実証実験の協力事業者による商品の販売や取り組みに関する展示も行われる。