埼玉新聞

 

血がドバッ、ドバッと大量…男性死亡、マンション3階に住む女の部屋から1階まで流血 その後、遠方の別マンションへ立ち去った女逮捕「言いたくない」…部屋に流血マンションの鍵があった

  • 事件が起きたマンション=27日午後、所沢市東住吉(写真を一部加工しています)

    事件が起きたマンション=12月27日午後、所沢市東住吉(写真を一部加工しています)

  • 事件が起きたマンション=27日午後、所沢市東住吉(写真を一部加工しています)
  • 事件が起きたマンション=27日午後、所沢市東住吉
  • 現場に隣接した駐車場から運び出される車両=27日午後2時ごろ、所沢市東住吉
  • ブルーシートがかけられた現場のマンションで鑑識作業をする捜査員=27日午前2時ごろ、所沢市東住吉
  • 【地図】所沢市

 所沢市東住吉のマンションで男性が殺害された殺人事件で、事件後に現場から立ち去っていた中国籍の30代女=入管難民法違反(不法残留)で逮捕=の滞在先だった福井市内の賃貸マンションの一室から、事件現場となったマンションの部屋の鍵が発見されたことが捜査関係者への取材で分かった。

 県警は、事件発生時に男性と女以外の第三者の介在がないことから、女が事件に関与しているとみて捜査している。

 事件は昨年12月26日午後9時40分ごろに発生。茨城県ひたちなか市中根、会社員の男性=当時(25)=がマンション1階の出入り口にある階段付近で血を流して倒れているのを通行人に発見され、搬送先で死亡が確認された。男性は3階の一室で殺害されたとみられ、下半身に刃物のようなもので付けられた外傷があった。

 女は事件後にマンションから立ち去る姿が防犯カメラに写っており、西武鉄道の所沢駅から電車に乗り都内を転々。同28日にさいたま市のJR大宮駅から新幹線に乗り、福井県に向かっていた。その後、滞在先である福井市内のマンションの一室に、所沢のマンションの部屋の鍵を置いて外出。付近の路上にいたところを警察官に発見、確保された。女は福井のマンションの鍵を所持していたという。

■埼玉での行動「言いたくない」

 所沢市東住吉のマンションで会社員の男性=当時(25)=が殺害された殺人事件で、男性が事件前に交流サイト(SNS)で何らかのやりとりをした後に現場マンションまで向かったことが1月6日、県警への取材で分かった。男性は事件当日、スマホの地図アプリで現場マンションの所在地を調べており、県警はSNSでのやりとりがきっかけで現場に向かったとみて、詳しい経緯を調べている。

 事件後には現場マンション3階の一室に住んでいたとみられる中国籍の30代女が立ち去っており、県警は昨年12月29日、福井県内で女を確保、入管難民法違反(不法残留)の疑いで逮捕していた。女は逮捕容疑を認めているものの、埼玉県での行動については「言いたくない」と供述しているという。

 県警は、女が何らかの事情を知っているとみて捜査を進めている。

■所沢のマンション部屋、別の女性が借りていた(以下、逮捕時の記事)

 所沢市東住吉のマンション敷地内で男性が殺害された事件で、何らかの事情を知っているとみられる中国籍の30代女が12月29日午前、福井市内の路上で確保されたことが所沢署捜査本部への取材で分かった。捜査関係者によると、県警は女を入管難民法違反(不法残留)の疑いにより、福井南署内で逮捕。男性殺害についても事情を聴く方針。

 女は事件があった部屋に住んでいたとみられ、犯行時間帯にマンションから立ち去っていた。事件があった部屋の利用者が事件後に玄関の外から施錠して立ち去っていたことが判明。女は28日に新幹線で福井に来たとみられ、県警が同一人物かどうか調べる。

 殺害されたのは、茨城県ひたちなか市中根、会社員の男性=当時(25)。26日午後9時40分ごろ、所沢市東住吉のマンション1階の出入り口にある階段付近で血を流して倒れているのを通行人に発見され、救急搬送されたが約2時間後に死亡が確認された。

 事件があったとみられる3階の一室から発見場所にかけて、血痕が連続して付いていた。室内からは凶器の可能性があるナイフ1本が発見され、同本部が押収していた。男性は同部屋で殺害されたとみられ、下半身に刃物のようなもので付けられた外傷があった。同部屋は月単位で貸し出されるタイプで、逮捕された女とは別の女性が今年11月~来年1月末まで借りていた。

 男性は、事件当日の26日午前6時過ぎ、茨城県ひたちなか市の自宅から出勤する様子を家族に確認されていた。同県内で午後5時まで仕事をした後、車で事件現場まで向かったとみられる。通報の10分前に現場マンションを訪れ、インターホンを押して3階の室内に入った後で被害に遭った。県警は男性が現場に向かった背景や経緯を調べている。

■住民ら恐怖「もう少し遅ければ自分が被害か」(以下、逮捕前の記事)

 所沢市東住吉のマンション敷地内で、血を流して倒れていた男性が死亡した事件。12月27日未明、男性が発見されたマンション1階の入り口には、血とみられる跡が複数箇所で残り、県警の捜査員が規制線の奥で壁や手すりなどを入念に調べていた。

 現場のマンションは県道に面し、交通量は多いものの、深夜の人通りは少ないという。マンションの大家の男性は、警察から「人が倒れている」と連絡を受け駆け付けた。ワンルームマンションで近所付き合いは少ないと語り、「これまでに入居者のトラブルは聞いたことがなく、相談もなかった。全容が分からず怖い」と声を震わせた。

 マンションの入居者の女性は「(建物内に残る)血がひどい。特に3階に『ドバッ』『ドバッ』という感じで集中して、階段へと続いていたので、被害者は助けを求めて通りに出ようとして力尽きたのでは」と沈痛な面持ちで、「早く捕まえてほしい。正直、引っ越したい」と不安を訴えた。

 1階に事務所を借りている会社経営者の男性(59)は「建設業の寮のような利用や、女性の単身入居もあるが、変な人はおらず、トラブルもない」と驚きを隠せない様子で「(26日は)午後8時くらいにマンションを出た。もし通り魔的犯行なら、もう少し遅ければ自分が被害に遭っていたかも」と話した。

 道路を挟んで現場の反対側に住む男性(71)は「昨晩はいつも通り就寝した。特に異変はなく、朝になって警察官や警察犬で騒然として驚いた。マンションの住人に関するトラブルはこれまでなく、こんな近くで殺人事件が起きるなんて」と話し、防犯パトロールを担当する付近の小学校の関係者から心配の連絡があったと明かした。マンションには男女問わず若い住人が多い印象で、「子どもの通学などが心配。早く解決してほしい」と願った。

 事件を受けて所沢市は27日午前10時50分ごろ、「在宅中でも確実に玄関や窓を施錠するなどの対策を」と注意喚起するメールを住民に送信し、「不審者を見かけたら所沢署または110番を」と呼びかけた。
 

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