埼玉新聞

 

ピアノで夢・希望・感動を 希少難病の橋本美海さん 小学校卒業の集大成として3月にリサイタル

  • 自宅でピアノに向かう橋本美海さん=入間市内

    自宅でピアノに向かう橋本美海さん=入間市内

  • 自宅でピアノに向かう橋本美海さん=入間市内

 入間市立仏子小学校6年生橋本美海(みう)さん(12)が、3月29日に同市下藤沢のホールで、ピアノリサイタルを開催する。美海さんは低身長などの症状がある希少難病「先天性脊椎骨端異形成症(SEDC)」。86センチの体で、歌うような音色を奏でる。「今まで支えてくれた人に感謝の気持ちを込めて、夢と希望と感動を与えられる演奏を」の願いを込め、初めてのリサイタルに挑む。

■大好きな音楽 「歌う音」魅力

 「小さいころから音楽が大好きだった」という美海さん。5歳でピアノ教室に通い始めると、小学1年生から教室の選抜コンサートに毎年出場し、才能を発揮。7年連続で出場する「ヤングアーチストピアノコンクール」で銅賞などの受賞を重ね、コンサートにも多数出演してきた。

 昨年は動画審査を経て「イブラ・グランド・アワード・ジャパン」に初出場。演奏とともに英語のスピーチにも初挑戦し、入賞を果たした。こだわり抜いた「歌う音」が魅力の一つ。「難しい曲も練習して上達すると、うれしい気持ちになって、もっとたくさん練習したくなる」と笑顔で語る。

■治療法なく合併症も

 SEDCは、骨をつくる遺伝子の変異で低身長や重度の近視、難聴などの症状が現れる「2型コラーゲン異常症」の一つ。2型コラーゲン異常症患者・家族の会によると、患者数は全国で推定約1500人。有効な治療法がなく、失明や難聴のリスクも高い。

 美海さんは身長約38センチで生まれ、聴力は問題ないが、視力が低い。小学1年生で首の手術を経験。合併症の、背骨が曲がる「側弯(そくわん)症」のため、現在も年に数回通院する。将来的には背骨の手術も必要というが、学校生活や演奏活動への影響も懸念される。

■諦めなければ夢はかなう

 演奏ではオーダーメードの補助ペダル「ミウ スペシャル」を使用する。ペダルの幅や重りを工夫し、2022年に完成した。「手も少し小さいので、届かない音をつなぐことができるようになった。曲の幅が広がって、もっとピアノが好きになった」という。23年には尊敬するピアニスト、スタニスラフ・ブーニンさんからメッセージをもらい、表現力に磨きをかけてきた。

 「音楽が好きだけで始めたけれど、諦めないで頑張れば夢がかなうこと、障害があっても結果が出せることが分かった」とこれまでを振り返る。将来の夢は「夢と希望と感動を与えるピアニスト」。リサイタルは小学校卒業の集大成となる。「たくさん応援してくれた人に、楽しんで聞いてもらえれば」と目を輝かせる。

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 リサイタルは入場無料の予約制。問い合わせは、メール(lamer.miu@gmail.com)へ。

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