さいたま市、新庁舎整備で説明会 浦和のまちづくりなど説明…住民らから多くの質問や意見、紛糾する場面も
さいたま市は8、10日、新庁舎整備について、現庁舎(浦和区常盤6丁目)の近隣住民らを対象に説明会を開いた。清水勇人市長が移転の必要性や経緯を説明。住民から多くの質問や意見が出され、「現庁舎跡地(の利活用)を同時に検討してほしい」「デメリットも説明を」などの指摘が出た。「質問時間が短い」と紛糾する場面も見られた。
大規模な近隣住民説明会は初めて。対象は浦和区常盤1~10丁目、仲町1~4丁目、高砂1~4丁目の事務所、商店などを含め1万8千軒。8日のオンライン説明会に約70人、10日の埼玉会館の説明会に147人が参加した。12日夜に浦和区で3回目を開く。
市長は新庁舎整備、現庁舎の現状、浦和のまちづくりなどを説明。デメリットについて、「経済的な影響が指摘されているが、跡地の活用によって、マイナス、プラスのケースがあり、必ずしもデメリットとは言えない」と述べた。
参加者からは「改修すればいい」「現庁舎跡地で建て替えはできないのか」「県庁と市庁舎が近くにあることが魅力。各種団体の会館が離れるのではと危機感がある」などの意見が出た。子育て世代の母親からは「意見を聴いてほしい」と要望が出された。
質問時間は30分間を予定していたが、1時間にわたり質問が相次いだ。「30分で済むと思っていることが問題」「聞きたい人がいる」「一方的に押し付けているだけ」と会場から厳しい声が上がった。
8日の説明会では、三菱マテリアルによる放射性廃棄物の管理について質問が出た。同社が回収して地下保管庫に収納し、2010年に整備を完了しており、市長は「法令に基づいて毎年モニタリング調査を実施し、管理を確認している。庁舎の移転先としては問題なく、今後も継続して調査する」と説明した。
清水市長は昨年2月、市庁舎をさいたま新都心バスターミナルほか街区(大宮区北袋町1丁目)に、10年後をめどに移転を目指すと表明。同年12月、新庁舎整備の基本構想を策定した。市はホームページや市報などで周知を図ってきたが、説明会で、十分に理解が進んでいないことが明らかになった。市長は取材に「行政の情報は伝わりにくいところがある。市民の皆さんに知っていただく努力をして、プロセスごとに意見を聴いていきたい」と述べた。