ウクライナ避難民、埼玉県営住宅などに受け入れ 避難民に無関心…知事、人道的なつながり「意識広がれば」
ロシアの軍事侵攻でウクライナからの避難民が増えていることを受け、大野元裕知事は12日の記者会見で、空いている県営住宅などに入居を希望する避難民を受け入れる方針を明らかにした。ウクライナ語通訳3人を含む通訳ボランティア44人も確保し、大野知事は「人数は把握していないが、県内の知人を頼って数人のウクライナ避難民が滞在している」とし、「大変な苦難を逃れ、県に来る避難民が安心して生活できるよう、県庁ワンチームとなって取り組む」と強調した。
政府によると、日本国内ではウクライナ避難民約500人を受け入れているという。県は3月30日に、部局横断で支援に取り組む「県ウクライナ避難民支援対策連絡会議」を設置。県営住宅では37戸、さいたま、深谷、行田、戸田の4市の市営住宅では42戸を確保しており、空き室は計79戸となる。入管庁を通じて案内している外国人総合相談センター埼玉(さいたま市浦和区)の窓口に本人や支援者らから連絡があれば、提供する予定。同センターにはウクライナ避難民向けの窓口も設置しており、ウクライナ語、ロシア語、英語、簡易な日本語で対応している。
日本赤十字社県支部や県社会福祉協議会を通じて生活物資や資金の支援を行い、フードバンクや子ども食堂などの団体を通じて食料や地域交流も支援する。大野知事は「日本は入管法や難民認定法が不十分という指摘もあり、これまで避難民に対してほぼ無関心な国だった」と指摘した上で、「今回ウクライナの方々を受け入れることで、人道的な国際社会とのつながりに対する意識が広がってくれば」と述べた。
県庁などに3月8日から設置している募金箱には4月11日時点で約24万円が集まった。募金は5月末まで行われる。また、県の呼びかけに応じ、県内企業などが約300万円を日本赤十字社に寄付した。