埼玉新聞

 

イオン、福島産の鮮魚をPR 与野と北戸田に専用コーナー開設 来店客ら、調理方法など聞きながら購入

  • 「福島鮮魚便」と名付けられた専用棚には、福島県産の水産物「常磐もの」が多く並ぶ。店員に質問しながら購入する来店客が多く見られた=10日午後、さいたま市中央区のイオン与野店

 イオンリテール(千葉市)は10日、昨年から首都圏の店舗を中心に設置している福島県産水産物「常磐もの」を扱う専用コーナー「福島鮮魚便」を、イオンスタイル北戸田(戸田市)とイオン与野店(さいたま市中央区)にも開設した。イオン浦和美園店(同市緑区)、イオンスタイルレイクタウン(越谷市)など計10店体制で鮮魚をPRし、2011年の東日本大震災の風評払拭(ふっしょく)や消費拡大を促進する。同日、与野店で開かれた式典には内堀雅雄福島県知事らが出席し、購入を呼び掛けた。

 福島県の太平洋側の地域「浜通り」沖は、暖流の「黒潮」と寒流の「親潮」が交わる豊かな漁場。カツオやヒラメなど約2百種が水揚げされ、それらは「常盤もの」と称され、高い知名度を誇る。

 しかし、東日本大震災を受け東京電力福島第一原発事故が発生。その影響で、漁獲や出荷が規制され、地域の農水産業は大打撃を受けた。

 16年6月に同県産のヒラメとマアナゴが規制解除されたのを皮切りに、各種魚類で解除が進んだ。ただ事故から8年経った現在でも、風評被害などの影響で試験操業が続くほか、海外23カ国で同県産水産物の輸入規制を解除していない。そのため行政、漁業団体、イオンリテールの3者で連携し、昨年から状況好転と消費拡大を目指し「福島鮮魚便」を開始した。

 内堀知事は「海外では輸出規制が続く国もあるが、関係先と連携して『常磐もの』の鮮度や安全性を地道にPRし、国内外で消費拡大に努めたい」と力を込めた。同県の漁協組合連合会の野崎哲会長やイオンリテールの後藤俊哉副社長も3者による取り組み紹介のほか、魅力を訴えた。

 「福島鮮魚便コーナー」との名称が付いた専用販売棚には、前日に水揚げされ検査をクリアしたサバ、ヒラメなど10種類以上が並んだ。店員が常駐する対面コーナーなどもあり、来店客は調理方法などを聞きながら購入していた。

 同県南相馬市出身のさいたま市中央区の主婦(60)は、カツオの刺身を購入。「水揚げされたばかりのカツオの刺身をよく食べていたのを思い出し購入を決めた。今後も福島の農水産物の購入を続ける」と福島支援を誓っていた。

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