埼玉新聞

 

道路陥没…トラック転落、地下の下水道管が壊れたか 120万人に影響、下水道使用を控えるよう呼びかけ「流し続けるとどこかから汚水があふれ出す」 事故前後に住民から「電話が使えない」との情報が多数あった

  • 道路が陥没し、トラックが転落した穴=28日午後0時5分ごろ、八潮市二丁目

    道路が陥没し、トラックが転落した穴=28日午後0時5分ごろ、八潮市二丁目

  • 道路が陥没し、トラックが転落した穴=28日午後0時5分ごろ、八潮市二丁目
  • 【地図】八潮市
  • 八潮市で道路が陥没した県道交差点の位置(図の中心点付近)=国土地理院HPから

 28日午前9時50分ごろ、埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没し、トラック1台と運転していたとみられる男性1人が陥没でできた穴に転落した。県は県道の下を通る中川流域下水道管が壊れた可能性があるとみて原因を調べるとともに、下水道管の閉塞(へいそく)の懸念から、県東部や南部の関連する12の流域市町に使用制限を依頼し、下水道使用を控えるよう呼びかけた。

 対象の12市町は、さいたま市岩槻区、川口市の一部(おおむね国道122号より東側)、春日部市、草加市、越谷市、八潮市、蓮田市、幸手市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町。

 県下水道事業課によると、下水道使用制限の影響を受ける人口は約120万人。12市町から中川水循環センター(三郷市)の中央幹線に流れ込んでいる下水の量が28日午前10時ごろから減少。道路陥没で同幹線の下水道管が土砂でせき止められている状況が想定されるという。担当者は「流し続けるとどこかから汚水があふれ出す。トイレはやむを得ないと思うが、洗濯・風呂はめどが立つまで控えていただいて、危険性を減らしていきたい」と協力を求めている。

 陥没箇所には1983年に供用開始された下水道管が通っており、破損について県下水道事業課は「調査をしてみないと分からない」としつつ、下水が滞留し、有機物が腐ることで発生する硫化水素が空気に触れて硫酸となり、コンクリートを腐食させた可能性が高いという。

 県は5年ごとに下水道管を調査し、深刻度が高い順にA、B、Cとランク付けしている。陥没箇所の下水道管は2021年の検査で直ちに工事が必要な状況にないBランクだったものの、20年の調査では陥没箇所の上流500メートルの地点で鉄筋がむき出しになっている状況(Aランク)が判明し、モルタル施工の設計を昨年度から実施していた。

 大野元裕知事は同日の定例会見で「人命救助を最優先に原因究明と応急復旧工事の検討・実施、同様の下水道管の緊急点検を行う見込み。(Aランクの地点が)今回の事案と関係しているかは調査できていない」と話した。

 担当者は「土砂を撤去して流れを確保した上で、どういった復旧ができるかを考えないといけない。現場を確認してみないと(復旧の)見込みが立たない」と制限が長期間に及ぶ可能性を指摘した。

■「電話が使えない」市に問い合わせ多数

 近くに住み会社を経営する50代女性は「交通規制があって会社に行けない。何十年も住んでいるのにこんなことは初めて。本当に驚いている」と表情を曇らせた。

 八潮市によると、けがや上下水道の異常などの情報は寄せられていないという。一方、市建設管理課によると、事故前後の時間帯から、電話が使えないという住民からの情報が多数寄せられているという。 同市鶴ケ曽根の市の体育館エイトアリーナも午前10時前後から電話回線が不通に。市職員は「事故の影響かどうか分からない。情報がなくて困っている」と口をそろえた。
 

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