埼玉新聞

 

車が落ちた…道路陥没でトラック転落、その直前に車で通った男性「違和感なかった」 下水道の使用制限に人々は「何をどう節約すればいいのか分からない」 取り残された運転手を心配する声「埋まっている本人は不安だ」

  • クレーン車で吊り上げられたトラックの一部=29日午前2時35分ごろ、八潮市二丁目

    クレーン車で吊り上げられたトラックの一部=29日午前2時35分ごろ、八潮市二丁目

  • クレーン車で吊り上げられたトラックの一部=29日午前2時35分ごろ、八潮市二丁目
  • クレーン車で吊り上げられたトラックの一部=29日午前2時半ごろ、八潮市二丁目
  • 八潮市で道路が陥没した県道交差点の位置(図の中心点付近)=国土地理院HPから
  • 【地図】八潮市
  • 陥没現場付近の地図。ピンク色が交通規制道路。黄色の円内が警戒区域(1月31日現在、八潮市HPから)

 28日午前9時50分ごろ、八潮市二丁目の県道54号上で道路が陥没し、トラック1台が転落した。運転手の男性1人が車内に取り残され、救助活動を実施。男性は当初、意識があり、呼びかけに応じていた。また、救助活動中に消防隊員2人が落ちてきた土砂でけがをし、救急搬送された。地下に敷設されている下水管の劣化が陥没に影響した可能性があるとみて、県が原因を調べている。

 草加署によると、同日午前9時50分ごろ、目撃した男性が「道路が陥没してダンプが落ちた」と110番。現場は片側2車線と右折レーンがある交差点で、中央付近に直径10メートル、深さ10メートルほどの穴が開いた。八潮駅から約1・3キロ、八潮市役所から約300メートルの距離で、付近では約1キロにわたり通行規制が行われている。

 県は県道の下を通る中川流域下水道管が壊れた可能性があるとみて原因を調べるとともに、下水道管の閉塞(へいそく)の懸念から、県東部や南部の関連する12の流域市町に使用制限を依頼し、下水道使用を控えるよう呼びかけた。

 対象の12市町は、さいたま市岩槻区、川口市の一部(おおむね国道122号より東側)、春日部市、草加市、越谷市、八潮市、蓮田市、幸手市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町。

 県下水道事業課によると、下水道使用制限の影響を受ける人口は約120万人。12市町から中川水循環センター(三郷市)の中央幹線に流れ込んでいる下水の量が28日午前10時ごろから減少。道路陥没で同幹線の下水道管が土砂でせき止められている状況が想定されるという。担当者は「流し続けるとどこかから汚水があふれ出す。トイレはやむを得ないと思うが、洗濯・風呂はめどが立つまで控えていただいて、危険性を減らしていきたい」と協力を求めている。

■深い穴に住民不安

 現場となった八潮市二丁目の交差点には大きな穴が開いており、落ちたとみられるトラックを目視できないほど穴は深い。クレーン車による救出作業は続き、近隣住民は不安そうに現場を見つめていた。

 近所に住む男性(70)は事故の約1時間前に交差点を車で通ったといい、その際は違和感はなかったという。「六差路の交差点で、交通量も多い。埋まっている本人は不安だと思う」と話していた。近隣で働く男性(59)は下水道の使用制限の知らせを聞き、「何をどう節約すればいいのか分からない」と困惑していた。
 

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