【動画】道路陥没、中でつながるような新たな陥没も 不測の事態…困難極める救助活動、時折雨も 午前3時前、不安な表情浮かべ市民ら避難「ここまで大ごとになるとは」「不安で眠れるか」
八潮市の県道で道路が陥没し、トラックが転落した事故は、消防による救助活動が夜通し行われた。時折雨が降る真冬の深夜、消防隊員は穴の中をのぞき込んでクレーン車とトラックをワイヤでつなぐが、ワイヤが切れたり、新たに大きな陥没ができるなど不測の事態も発生、作業は困難を極めた。トラック運転手の男性(74)は28日昼ごろに返答があった以降、安否が確認できていない。突然の避難指示に付近の住民は驚きと不安を口にした。
消防によると、29日午前1時5分ごろにトラックが陥没した穴からつり上げられたが、確認できたのは荷台部分のみで、男性がいると推測される運転席部分は残っているとみられている。当初できた陥没と中でつながるように新たに幅7~10メートルの台形のような陥没も発生。電柱やガス検知器が落下し、付近にある飲食店の看板も倒壊、休業を余儀なくされた。
午前3時前、県警はガス管損傷の可能性があるとして、陥没箇所から半径200メートル範囲の住民に避難を呼びかけた。警察官がインターホンで避難誘導したり、パトカーから「市役所へ避難してください」などと呼びかけ、市民らは不安な表情を浮かべながら足を向けた。
妻と共に避難した80代の男性は「ここまで大ごとになるとは思わなかった。感染症も流行しているので(避難所で過ごすのは)怖い」、30代女性は「何が起こったのか分からないまま逃げてきた。不安で眠れるか分からない」と語った。
夜が明けた29日も現場周辺には厳重な規制が敷かれ、男性の救出活動が継続。運転席部分には泥水がたまるなど、二次災害の懸念もあり、さいたま市消防局や東京消防庁の応援でドローンなどによる陥没部分の慎重な調査も行われた。夕方ごろには水位が減り、消防は救助活動を進めるとしている。
県による下水道の使用自粛の呼びかけを受け、付近で飲食店を営む40代男性は皿洗いで水の使用量を半分にするなど、できる限りの節水を心がけた。「復旧に時間がかかると思うので、工夫して排水を抑えないといけない」と頭を抱えた。