埼玉新聞

 

八潮の道路陥没、下水道管は上部が破損…半円形の状態との報告も 下水量を減らすため緊急放流へ 下水せき止めた土砂の一部、押し流されたか…知事、陥没拡大の可能性「否定できない」

  • クレーンなどで穴に入って救助活動を行う消防隊員ら

    クレーンなどで穴に入って救助活動を行う消防隊員ら=28日午後9時20分ごろ、八潮市二丁目

  • クレーンなどで穴に入って救助活動を行う消防隊員ら

 28日に埼玉県八潮市の県道松戸草加線中央一丁目交差点内で道路が陥没し、2トントラックが転落した事故を受け、県は29日、大野元裕知事を本部長とした危機対策会議を立ち上げ、早朝から計4回、各部からの対応状況報告などを行った。陥没地点の下水道管は上部が破損し、半円形の状態との報告があり、下水の量を減らすため、春日部中継ポンプ場より新方川へ下水を緊急放流する予定。県によると、下水の緊急放流は東日本大震災の際にも実施された。下流には飲料水の取水地点はないという。

 29日未明の作業中、新たな陥没も発生。県警によると、同日午前8時ごろには幅約10メートルに拡大した。ガス漏れの危険があったことから、周辺200メートル以内の住民に避難を呼びかけた。避難者数は35人(29日午後0時30分時点)。

 復旧段階における対応の長期化を見据え、国と連携し、広域的な交通規制ならびに道路利用者の情報提供などについても助言を受ける。インフラ事業者が調査した被害状況ではインターネット1300回線、固定電話400回線の利用ができなくなっている。この事案によるガスの漏えいや停電はないという。

 大野元裕知事は取材に「29日午前0時ごろから中川水循環センターへの流入量が急激に増加した。下水をせき止めていた土砂の一部が押し流されたものと推定され、陥没が拡大する可能性を否定できない」と話し、北田健夫下水道事業管理者は「危ない状況。道路舗装の部分が落ちる可能性があり、安全を確保することが難しい」と状況を説明した。

 県は午後2時ごろから、ドローンや地中レーダーによる空洞調査を実施して結果を分析。穴の立体的な位置関係などを解析しつつ、難航していた救助活動を再開した。現場からの報告では、道路陥没地点の下水道管は上部が壊れた半円形で、水位もぎりぎりの状態だという。

 春日部中継ポンプ場から中川幹線へのバキューム車による汚水移送を開始したほか、避難区域外の中川流域下水道上の道路3・5キロで行った空洞調査の解析結果は30日夕方に判明する見通し。

 大野知事は「必要な情報を遅滞なく県民に伝え、被害を最小限に食い止めることが私たちの責務。影響が中長期化し、さまざまな側面から地域を支えていくことが必要」と述べた。

 事故は28日午前9時50分ごろ、陥没を目撃した男性が110番。消防や県によると、大型クレーンを複数台使って29日未明、ワイヤで荷台部分を地上に引き上げたが、運転手とみられる男性(74)は見つかっておらず、安否は分かっていない。

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