埼玉新聞

 

県内初の試み 皆野で捕獲した鹿肉でキーマカレー、学校給食に提供 鳥獣被害の対策とジビエ料理普及に 多彩な食材と隠し味はみそ 試食会では保護者からも高評価

  • シカ肉のキーマカレーを味わう児童たち

    シカ肉のキーマカレーを味わう児童たち=5日午後0時半ごろ、皆野町立皆野小学校

  • シカ肉のキーマカレーを味わう児童たち
  • 5日の学校給食のメニュー

 皆野町の町立皆野幼稚園と小中学校4校で5日、町内で捕獲した鹿肉を使ったキーマカレーが提供された。町の地域課題の一つである有害鳥獣被害の対策と、ジビエ料理の普及を目的に、豊富な食材と香辛料で鹿特有の臭みを抑えた、子どもが安心して食べられるジビエカレーを開発した。町によると、町内で捕獲した鹿肉を学校給食に採用するのは県内初の試み。

 町内の園児、児童、生徒に振る舞われたキーマカレーは計600食分。皆野、長瀞町内をエリアとする「北秩父猟友会」の猟師が、皆野町内で捕獲した21キロのニホンジカの肩、もも肉が使われている。

 鹿肉を提供したのは、移住者の岡野直樹さんが昨年2月に町内にオープンした皆野ジビエ加工場(合同会社ボンプ運営)。工場では普段、地元猟師がわなで捕獲したニホンジカを解体、食肉加工し、卸し販売や、シカハンバーガーのキッチンカー販売などを行っている。「ジビエ給食を通して、有害鳥獣被害対策にたくさんの町の人が関わっていることを、子どもたちに知ってほしい」との思いで、岡野さんは町に協力した。

 給食センター職員が、鹿肉と豚肉を1対1で合いびきにして、ニンジン、シメジ、グリンピースなど多彩な食材と、同町の新井武平商店のみそを隠し味にした、栄養満点なカレーを考案。町は昨年10月以降、各学校で試食会を開き、保護者から高評価を得ていた。

 町によると、シカ、イノシシなどの野生鳥獣による農作物被害報告は年間約40件で、年々増加傾向にある。この日、町立皆野小学校の1年生と一緒にジビエカレーを味わった黒沢栄則町長は「子どもたちが地域課題と向き合いながら、給食を楽しんでほしい」と語った。

 同校1年生は「いつものカレーと同じで、おいしい」と、笑顔で頬張っていた。町は今後も、年に数回、ジビエを使った給食を提供していく予定。

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