埼玉新聞

 

焼死した男性社長、困った仕事も快く引き受けていた 悲しむ仲間ら「優しい人」、最後に会ったときは

  • 火災現場での現場検証を行う警察関係者ら=16日午前、朝霞市上内間木

 朝霞市上内間木の内装会社「長葭(ながよし)内装」の事務所兼作業場が全焼し、焼け跡から男性の遺体が見つかった放火殺人事件で、朝霞署捜査本部は18日、殺害されたのは連絡の取れなくなっていた同社社長(43)=志木市中宗岡2丁目=だったと明らかにした。DNA型鑑定で特定した。また、現場の作業場から男性のものとみられる血痕が見つかったことも捜査関係者への取材で分かった。

 建物はプレハブで事務所と作業場のスペースに分かれていて男性は事務所で倒れて死亡していたが、隣接する作業場から男性のものとみられる血痕が見つかった。縛られた形跡はなかったという。男性の上半身には複数の骨折痕があり、何者かが建物内で殴るなどの暴行を加えて動けない状態にしてから火を付けたとみられている。

■知人ら悲しみ「しっかりした人」「丁寧なあいさつ」

 殺害された「長葭(ながよし)内装」の男性社長(43)。「仕事人間で優しい人」「早く犯人を見つけて」。知人らは突然の悲報に驚き、事件の解決を願った。

 「驚いた。まだ実感がない」。男性社長と7~8年の付き合いがあるという建設会社に勤める志木市の男性(42)は語る。知人から「良い業者がいる」と男性を紹介され、話した雰囲気や仕事ぶりなどから取引を決めたという。男性社長と最後に会ったのは先週で、その時は「普段と変わらない様子だった」。

 男性社長の人柄については「仕事人間だった」と説明する。「腕も良かったし知識もあった。新しいことをどんどんやっていこうという意欲があり、取引先として魅力的な人間だった」。お人よしな面もあり、仕事のことで「何とかならないか」と相談すると、快く請け負ってくれたという。

 同じ建設会社に勤める男性(44)は「優しくて事件に巻き込まれるような人ではない。残念」と肩を落とす。男性社長とは何度か共に仕事をした経験があるが、「納期を破ったことはない。われわれの業界は信頼で成り立っている部分が大きいが、その中でもしっかりした人だった」と振り返った。無料通信アプリLINE(ライン)の返信も早く、「連絡一つとってもしっかりした人だった」。

 男性社長方の近くに住む60代男性は「ノリが良く感じが良い」と印象を語る。職人らしい見た目で「会うと丁寧にあいさつしてくれる優しい人」と振り返り、「早く犯人が見つかってほしい」と話した。

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