ごめんね、さいたま…海なく落胆も、さいたまの魅力見つける 浦和で海外出身者の日本語スピーチ大会 民族衣装に身を包み登壇 来日当初を思い出し涙も
インドネシアやスリランカなど6カ国の出身者による「日本語スピーチ大会」が8日、さいたま市浦和区のJR浦和駅東口前のコムナーレ10階で開かれた(さいたま観光国際協会主催)。最優秀賞に輝いたのは、フィリピンのグレイさん(24)。来日前は、海のないさいたまが研修先と知り落胆したというが、「過ごすうちに、良い所がたくさんあることに気付いた」と、身ぶり手ぶりを交え、茶目っ気たっぷりに語った。
同大会は2002年、日本語を学ぶ外国人市民に発表の機会を設けることで自己啓発や生活意欲を高めてもらおうと開催。今年で23回目を迎え、市民と外国人市民の相互理解や交流の場となっている。今年のテーマは、「さいたまの魅力 みーつけた!」。実行委員長の藤田安子さん(59)は「彼らが感じたままの“らしさ”が出ると思い、決定した」と話す。応募者の中から選ばれた10人が、民族衣装などに身を包み登壇した。
海に囲まれて育ったというグレイさんは現在、日本語国際センター(北浦和)で研修中。スピーチタイトルは「ごめんね、さいたま」とした。「勉強で練習時間が取れず、休み時間も食事中も全て使った」と話し、受賞を喜んだ。
「来日当初は孤独で心細かった」と話した韓国のペさん(41)は、引っ越し先のさいたまで初めてママ友ができた。「人のつながりが広がった公園が大好き」。インドネシアのミアさん(24)は、同市の自然や暮らし、人々を生け花に例えて「共存の良さ」を伝えた。
会場には日本語国際センターからの応援者も駆け付け、見守った。「スピーチを聞いて来日当初を思い出し、泣いてしまった。今月20日に帰国するので寂しい」とマレーシアのレイさん(35)。所沢から夫と来た光井紀子さん(84)は「旅行先のモンゴルで通訳をしてくれた人が出ると知り、聞きにきた。みんな日本語でスピーチしてすごい」と感心していた。
20年前から記録撮影をしているボランティアの庵地(いおち)紀子さん(85)は、「緊張した表情やうれしい瞬間が残せたらと思う。大変だが、カメラを構えるとアドレナリンが出て身体が動いてしまう」とほほ笑んだ。