全国からの思い形に さいたま市立病院、ドクターカー運用開始へ CF型ふるさと納税で目標の2倍超
さいたま市立病院(緑区)は、救命救急センターにドクターカーを導入し、6月1日から運用を開始する。医師と看護師が多重交通事故や自然災害などの現場に急行し、救急車で搬送される傷病者に対して、早期に適切な治療を行うことで、救命率の向上や後遺症の軽減を図る。同病院はクラウドファンディング(CF)型ふるさと納税を活用し、寄付金238万円を車両購入費に充てた。
ドクターカーは7人乗り四輪駆動のスポーツタイプ多目的車(SUV)。赤色灯を整備し、自動体外式除細動器(AED)、人工呼吸器、酸素ボンベなどを搭載している。予算は車両費用約550万円を含む総額約2300万円。当面は医師2人、看護師2人、市消防局の指導救命士の運転手ら6人が乗車して、平日の日中の時間帯に対応する。
運用範囲は県東南地域で、春日部市や越谷市、川口市、加須市などを含む。さいたま赤十字病院、自治医科大さいたま医療センターがドクターカーを既に運用しており、市内は3台体制となる。
運用されるドクターカーが26日、市役所駐車場で報道陣に公開された。救命救急センター所長の中野公介医師は「夜間や休日の出動要請が多いため、人員体制を整えて速やかに24時間365日の運用を進めたい」と述べた。桜井淳子看護師長は「安全に注意して、地域の救急医療に貢献できるようにしたい」と話した。
CFの目標を100万円に設定。市内を中心に東京、神奈川、愛知、兵庫など全国78人から、目標を上回る238万円の寄付を受けた。ふるさと納税の返礼品の影響もあるとみられるが、担当者は「半数ぐらいは市内の人からの寄付で、医療を充実してほしいとの期待があるのではないか」と話していた。
清水勇人市長は「多くの協力をいただき改めて感謝を申し上げたい。市民の命と健康を守るために、市立病院は地域の基幹病院として質の高い医療を提供できるよう努めていく」と述べた。