埼玉新聞

 

道路陥没…車も家の中も臭い…揺れや騒音も 「心が折れそう」「生活できる環境でない」「営業補償は」現場近くの住民ら、厳しい生活環境を訴え 埼玉県が説明会 知事「これまで以上に寄り添った対応が必要」

  • 説明会終了後、報道陣の質問に答える大野元裕知事(中央)ら

    説明会終了後、報道陣の質問に答える大野元裕知事(中央)ら=22日午後、八潮市中央の八潮メセナ

  • 説明会終了後、報道陣の質問に答える大野元裕知事(中央)ら

 八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故を受け、県は22日、同市の市民文化会館メセナで地元説明会を開いた。説明会には周辺住民84世帯120人が参加。住民からは悪臭や工事による振動、騒音などによる日常生活に対する不安や不自由さを訴える声が相次いだ。大野元裕知事は「応急復旧、(トラック運転手の)救出を優先し、さまざまな活動をこれから進める。皆さまの要望を丁寧に伺い工事を進めたい」と述べた。

 説明会は報道陣に公開され、大野知事や県幹部、同市の大山忍市長らが出席。質疑応答含め約2時間にわたり意見を交わした。北田健夫県下水道事業管理者はこれまでの経過や現状、今後の復旧工事について説明。人命救助に向けたバイパスとなる下水管の設置方法などを報告した。

 現場近くの住民たちは、厳しい生活環境にさらされている現状を訴えた。付近のモニタリングによる数値を根拠に安全性を示す県の説明に対し、「運転手の救出が第一だから受け入れて生活しているが、地震速報を探すぐらい揺れや臭いがありぎりぎりの生活。心が折れてしまいそう」「避難所から自宅に戻ったら車も家の中も臭い。騒音もあり生活できる環境ではない」などの声も。住民の指摘に県は「生の声を聞いたことで何ができるか考えたい。今は回答を持ち合わせていないがじっくり考えたい」などと答えた。

 地域で商売をする男性からの「営業補償はどれくらい進んでいるのか」との質問に対し、県は「災害救助法の適用を受けた。専用窓口で案内しながら対応したい」と回答。今後工事が続く中で工事車両の往来が増えるという説明に対し、住民は「子どもたちに何かあったら大変。関係者にはくれぐれも注意してほしい」と求めた。十分な情報が届かないとの指摘もあり、「自分から調べないと得られない。市民に分かりやすく伝える手段を考えてほしい」といった要望が相次いだ。

 説明会終了後、大野知事は報道陣に「強く感じたのは数字や客観的な事実で説明しても、目の前に穴が開いていて、事故が起こったことを非常に不安に思われていることを痛切に感じた。これまで以上に丁寧で寄り添った対応が必要」と話した。大山市長は「市民はどうすれば安心安全な生活に戻れるのかに関心がある。要望について県と連携を密にし、市民がより安心できるよう工事や救助の問題も説明していきたい」と述べた。

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