新県立図書館、熊谷市に整備集約 埼玉県教委が方針 電子書籍の導入やデジタルライブラリーなど非来館型でのサービス想定 現在は熊谷と久喜に2館
時代の変化に合わせ検討を続けていた埼玉県の新県立図書館について、県教育委員会は21日の定例会で、熊谷市内で整備を進めている北部地域振興交流拠点と熊谷地方庁舎のA駐車場跡地の2カ所で一体的に整備する方針を固めた。県立図書館は現在、熊谷図書館(浦和分館)と久喜図書館の2館体制。今後は整備に合わせて熊谷・久喜の両図書館、浦和分館を廃止し、既存施設の機能を新県立図書館に集約させる。
県教委は、2022年3月に有識者会議を開催し、県立図書館の目指す方向性や新たな機能などについて議論。デジタル化の進展など時代の要請に応じた図書館サービスを実現するため、23年10月には「新県立図書館基本構想」を策定するなど、新しい県立図書館の施設整備の方向性について検討を進めてきた。
今回の方針は、他県の状況などを踏まえ教育局内部での検討を経て決定。設置場所については、各市町村立図書館への効率的な資料搬送のため、県内各地域へのアクセスが良いこと▽貸し出し不可の資料閲覧のため、県民から県立図書館へのアクセスが良いこと▽公用地など土地の確保が容易なこと―などの観点から決められた。
新県立図書館では、電子書籍の導入やデジタルライブラリーなどオンラインサービスを中心に、非来館型でのサービス提供を想定。目に見えるところに資料は配架せず、貸し出しはオンラインで予約を受け付けた後、最寄りの市町村立図書館へ搬送され、受け取るという。
窓口機能は北部地域振興交流拠点に整備し、貸し出し不可資料の閲覧など一部サービスを継続するため、小規模なスペースを設置。資料などは、効率的な搬送のため駐車場跡地に設置する閉架書庫の1カ所に集約して保存する。そのほか、同跡地には資料仕分けや荷降ろしスペースなどの施設も設置する。
定例会では、教育委員が「県立図書館が廃止される久喜市では、県民の交流機会の提供をどのように補っていくのか」と質問。担当課職員は「市町村立図書館と連携し、どのようなサービスが提供できるか意見を交換していく」と話した。
県教委は来年度に基本計画を策定し、サービスの内容など具体的な方針を決める。