埼玉・川口の環境センター火災、発生2カ月 施設復旧に65億円以上…市民1人当たり換算で1万円以上に 出火原因は今も不明、ごみの中に発火物が交じったか…ごみ分別の徹底を呼びかけ
川口市朝日の朝日環境センターで発生した火災から、2カ月を迎える。発生直後に市は一般ごみの収集を一時停止し、収集所に未回収のごみがあふれるなど、市民生活に大きな影響を及ぼした。火災に伴う他自治体などへのごみ処理委託費や、施設復旧のための修繕費の総額は現時点で少なくとも65億円以上に上るとみられるが、全容は明らかになっておらず、市の財政的負担が今後、大きく膨らむことも懸念されている。
市が3月末までの支出を決めた朝日環境センター火災の対応にかかる費用は、一般ごみの他自治体などへの処理委託費が約7億6千万円、同センターのごみクレーン部品交換など修繕費が約6億6千万円で、計14億2千万円。2025年度一般会計当初予算案には、4月以降1年間の他自治体などへのごみ処理委託費として31億520万円を計上した。
これらとは別に、概算で20億円弱かかるとみられる全損したごみクレーンの更新や、現在、調査が行われている建物の補修については、25年度の補正予算で対応するとしており、今回の火災とその後の対応として市が支出する費用の総額は現時点で少なくとも65億円以上、市民(約60万7千人)1人当たりの換算で1万円以上に上るとみられる。
1月3日に朝日環境センターで発生した火災は約27時間にわたってくすぶり続け、市は同センターでの一般ごみの受け入れを中止。戸塚環境センター1カ所で受け入れたが限度を超え、他自治体などに受け入れを依頼している。
出火原因は今も不明。収集したごみの中に何らかの発火物が交じっていたとみられ、市はごみ分別の徹底を多言語で呼びかけている。特に小型家電やモバイルバッテリーなどに内蔵される、発火の恐れがあるリチウムイオン電池については、詳細な取り扱いを市ホームページ(HP)などで示しており、市担当者は「充電できる小型家電については、火災を防ぐため、一般ごみの袋に混在させず、絶縁して金属類として出してほしい」としている。