散弾銃発射も「殺意はない」 ふじみ野立てこもり、無職男を3度目逮捕 催涙スプレーでの傷害容疑は認める
ふじみ野市の住宅で1月、医師らが散弾銃で撃たれ死傷した立てこもり事件で、県警東入間署捜査本部は10日、医師らとともに容疑者方を訪れた医療相談員の男性らに発砲するなどした殺人未遂と傷害などの疑いで、同市大井武蔵野、無職の男(66)=殺人容疑などで送検=を再逮捕した。逮捕は3度目。県警は男が一方的に恨みを募らせ犯行に及んだとみて調べている。
再逮捕容疑は1月27日午後9時ごろ、医療相談員の男性(33)=川越市=に対して、催涙スプレーを顔付近に噴射して全治約2週間の角膜症などのけがを負わせ、別の医療相談員の男性(43)=富士見市=に散弾銃を1発放ち、殺害しようとした疑い。調べに、傷害容疑は「間違いない」と自認する一方で、殺人未遂容疑については「殺意はない」と否認しているという。
捜査1課によると、医療相談員の男性2人は、射殺された医師の鈴木純一さん=当時=(44)が関わっていた在宅クリニックの関連職員。催涙スプレーは男が昨秋ごろ、インターネットで購入。犯行当日はズボンのポケットに忍ばせ、鈴木さんらを撃った散弾銃を玄関先で男性に取り上げられたため、噴射したとみられる。その後、居室内から別の散弾銃を取り出し、容疑者方前の路上を逃げる別の男性に向け居室内から発砲した。男性にけがはなかった。
男は、母親の担当医だった鈴木さんら医療関係者7人を弔問目的で呼び出し、母親の蘇生措置を断られると鈴木さんに向け散弾銃を発砲し殺害。同じ銃で理学療法士の男性(42)を撃ち全治不詳の重傷を負わせ、別の男性に散弾銃を発砲するなどした上で、鈴木さんを人質に約11時間立てこもった。
県警は、2月18日に理学療法士の男性への殺人未遂容疑で男を再逮捕。その後、さいたま地検が3月3日から約3カ月間、刑事責任能力の有無を判断するため、鑑定留置を実施していた。