被害額30億円超…1996年以降で最大規模に 降ひょう、埼玉県内23市町で被害 特別災害指定も
県は10日、県内で2、3日に降ったひょうについて、農産品、施設などへの被害額が現時点で30億円以上になるとの見込みを明らかにした。ひょうによる農作物の被害としては、1996年以降最大だという。10日の定例会見で大野元裕知事は「被害の状況を踏まえ、県として速やかに必要な対策を講じる」と強調。自然災害で被害を受けた農業者の支援を定めた県農業災害対策特別措置条例による特別災害の指定も検討する。市町村やJAへの聞き取りを進め、まずは被害全容を早急に把握したいとの考えを示した。
県農業支援課によると、10日までに降ひょうなどの被害報告があったのは、さいたま、熊谷、行田、加須、本庄、春日部、羽生、深谷、越谷、久喜、八潮、三郷、蓮田、幸手、吉川、白岡、美里、神川、上里、寄居、宮代、杉戸、松伏の県内23市町。スイートコーンやナシ、小麦など農作物やビニールハウス、ガラスハウスの破損などが報告されている。また、上里町では小麦種子の生産にも被害が出ているという。
同条例による特別災害指定では、利子補給などへの県の補助が定められている。同課によると、降ひょうによる特別災害の指定はこれまでに36回行われ、最近では2019年5月にさいたま、上尾、久喜などでナシ、ブドウなどに被害が出た際に行われている。
同日は、被害を受けた自治体の深谷市の小島進市長、本庄市の吉田信解市長、神川町の桜沢晃町長、上里町の山下博一町長が地元県議とともに県庁で大野知事に支援を要望した。小島市長は「これまでに農作物被害が12億7634万円、農業用施設被害が2億1732万円と甚大な被害が出ている」と現時点で判明している市内の被害額の大きさを説明。吉田市長は「被害品目は多岐にわたり、全滅に近いものもある。国、県の支援をいただきたい」と求めた。
大野知事は「各市町の切実さが伝わり、被害状況をしっかり受け止めさせていただいた」と対応。また、その後の会見で被害状況がまとまり次第、必要に応じ、補正予算案を県議会に提案する考えを示した。