埼玉新聞

 

幻の校歌・応援歌をCDに 入間・豊岡高校、創立100周年記念で制作 卒業生と在校生が歌い奏でる

  • 岡戸さん(左)の指導で、校歌の演奏練習に打ち込む吹奏楽団ОBや現役団員=豊岡高校吹奏楽団室

 県立豊岡高校(入間市、町田邦弘校長)は、来年の学校創立100周年を記念して、校歌と応援歌を収めたCDを制作する。同校の校歌は当初、今は歌われていない第7番まであり、応援歌は応援団の廃団以降、披露されることはなかった。CDに収録する、この幻の校歌・応援歌は卒業生と在校生が歌い奏でる。

 豊岡高校は学校組合立豊岡農学校として1920(大正9)年に創立した。校歌は34年に同窓会より寄贈され、当時の豊岡実業学校校歌として、歌詞が1~7番まであった。今は当初の1番と7番を、1、2番として生徒手帳や学校要覧に記載し、学校行事では1番のみ歌われている。

 今回の記念事業を取りまとめ、卒業生でもある同校用務員の岩渕豊さん(49)は「7番まで歌うと時間がかかるという理由から、1番だけ歌うようになったらしい」と推測する。7番まで歌い切るには10分以上かかるという。

 「7番まであったことは知っていたが、私の時分も7番まで通して歌うことはなかった」と語るのは同窓会長で元入間市長の木下博さん(86)。「複雑な経緯があっての短縮と思うが、全校歌が聴ける記念CDは貴重な物になる」と同窓会長もわくわくする。

 応援歌は、応援団が発足した62年には制定されていたが、99年に団員不足で応援団が廃団して以降、歌われることはなかった。

 収録は来月8日に入間市民会館大ホールで行う(観覧不可)。校歌は現役の音楽部員と部員ОB、音楽授業選択者から選抜した生徒が歌う。総勢100人近くに膨れ上がる可能性もある。

 演奏は同高吹奏楽団(吹奏楽部)のОBと現役団員有志ら約60人で特別編成したオール豊岡高校吹奏楽団。64年創設の同楽団で初代顧問だった岡戸晃男さん(77)がタクトを振る。応援歌は応援団ОBらが声を張り上げる予定だ。

 岡戸さんは「今までにないアレンジを加えており、豊高の校歌を知る人は聴いて驚くかもしれない」と話す。楽団ОBの最年長は、現職当時の岡戸さんから教えを受けた、入間市博物館長の加藤保夫さん(60)。「先生を前にすると今も背筋が伸びる。オール豊高の音を響かせます」と言い、青春時代にかえって、トロンボーンを吹く。

 現役の吹奏楽団長でフルート担当の3年生小嶺穂乃佳さん(17)は「豊高の歴史を感じさせるような深みのある音を残したい」と意気込み、「校歌は2番すら知らなかった。7番まであったなんて、びっくり」。

 記念CDは1500枚を制作予定で、来年11月7日に学校で開かれる記念式典で関係者に配布する。問い合わせは岩渕さん(電話04・2962・5216=豊岡高校)へ。

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