埼玉新聞

 

森永卓郎さん、人生懸けて集めた収集物並ぶ 私設博物館「B宝館」が再開 埼玉・所沢 ミニカーやおまけのおもちゃ、13万点超を収蔵 百年後は世界遺産…日常にある宝を次世代に

  • 森永卓郎さんのコレクションが展示されているB宝館。多くの市民やファンが来館している

    森永卓郎さんのコレクションが展示されているB宝館。多くの市民やファンが来館している=1日、所沢市けやき台

  • 森永卓郎さんのコレクションが展示されているB宝館。多くの市民やファンが来館している

 昔懐かしいおもちゃや日用品が整然と並ぶ「B宝館」(所沢市けやき台)。今年1月28日に67歳で亡くなった経済アナリスト森永卓郎さんが集めた13万点超のミニカーや菓子のおまけのおもちゃ、ペットボトルや空き缶など、日常にある宝にあふれている。「百年後は世界遺産」というコレクションを次世代に引き継ぐため、今後も運営を続けていくという。

 2014年、西武線新所沢駅から徒歩約10分のビルに、森永さんの私設博物館「B宝館」はオープンした。コーラの空き缶、ペットボトルのキャップ、ペコちゃん、グリコのおまけ、有名人のサインが書かれた駄じゃれグッズなど、13万点超のコレクションを収蔵する。森永さん自身もがん公表前は館内を回り、市民や全国のコレクター、ファンと交流していた。現在は毎月第1土曜日の開館で、毎回100人以上が訪れる。

■存続に喜びの声

 同館の事務局は1月末に森永さんの訃報を伝え、その後新館長の就任と3月以降の運営再開を発表した。森永さんが亡くなってから最初の開館日となった3月1日は、常連客や森永さんをしのび訪れた来館者であふれた。東京都東村山市から来た女性(74)は「(森永さんは)『百年後は世界遺産』と言っていたから、続いてよかった」と、ほかの来館者と思い出話に花を咲かせていた。

 車が大好きな河合亮太朗さん(8)は熱心にミニカーが並んだ棚をのぞきながら「最高です」と一言。「昔のレアな物がある。もらえるなら全部欲しい」と目を輝かせた。常連という松田晃司さん(65)は「こんな博物館は他にない。マニアなだけでなく、本人がポリシーを持っていた」と舌を巻く。

■「日常の美」に気付き

 新館長として思いを継いだのは森永さんの次男(36)だ。家族として存続を心配し、森永さんに相談せずに公式ホームページをリニューアル。それから森永さんは「次男が継ぐ」と公言するようになっていた。「人生懸けて集めた物なので、喜んでいたようだ」と振り返る。「美しいデザインは日常の中、すぐそこにあるということに気付かせてくれる」と同館への思いを語る。

 「本人ありきの博物館だったが、これからはいかに後世に伝えるかを考え、(館長は)裏方に徹したい」と、公式アンバサダー「桜城蘭(おうじょうらん)」を名乗り、運営や広報を担うという。森永さんのパソコンには、生前に購入しようとしたミニカーが、ネット通販のカートに残されていた。「まだ集めたかった物もあるだろうし、やりたかったこともあったと思う。遺志を継いでやっていきたい」と意気込んだ。

 入館料は大人800円、小学生以下の子ども400円など。同館の詳細は公式ホームページや交流サイト(SNS)で確認できる。

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