支援者ら「無念」 狭山事件の石川一雄さん死去 妻が裁判を受け継ぐ意向 「亡くなっても事件は終わらない」
2025/03/13/11:45
1963年の狭山事件で再審請求をしていた石川一雄さんが11日、86歳で死去した。1974年から石川さんを支援してきた部落解放同盟県連合会の片岡明幸委員長(76)は「再審開始への扉が開きかけていた。もう少し頑張ってくれれば、と残念でならない」とコメントした。
11日夜に妻の早智子さんからの電話で訃報を知った部落解放同盟中央本部事務局員の安田聡さん(70)は、先月末に自宅で会った時の様子を「もう少しで再審開始がかなうかもしれないと期待し、5月の集会に向けて『頑張る』と話していた」と振り返る。早智子さんが裁判を受け継ぐ意向を示していることに「全力で支援し、石川さんに代わって願いをかなえたい」と話した。
弁護団事務局長の竹下政行弁護士は「無念で残念」と話した。
市民団体や集会の運営などを行ってきた赤嶺菊江さん(70)は「信じられず、『悔しい』の一言」。県議会で再審法改正を求める意見書が採択された日、石川さんから電話で「ベッド生活だけど、どうしてもお礼を言いたい。ご尽力、ありがとう」と力強い声で感謝されたとし、「石川さんが亡くなっても狭山事件は終わらない」と再審開始を求め続ける考えを示した。
書籍「被差別部落に生まれて 石川一雄が語る狭山事件」(岩波書店)を執筆した静岡大学の黒川みどり名誉教授(66)は「昨年11月に立教大学で『100歳まで生きます。闘い抜きます』と学生に話していたのに」と惜しみ、「冤罪(えんざい)が晴れるまで両親の墓前に手を合わせないという信念だった。さぞ無念だっただろう」と思いをはせた。書籍執筆のため、長時間の聞き取りに応じ「黒川さんに全部しゃべった」と話した石川さんの姿をしのび、「残された者として遺志を継ぎ、(無罪獲得へ)闘わなければ」と力を込めた。