埼玉新聞

 

事件発生から5カ月…医師殺害の罪で男を起訴 ふじみ野立てこもり、裁判員裁判で審理へ/さいたま地検

  • 立てこもり現場付近を調べる県警の捜査員ら=1月29日午後1時すぎ、ふじみ野市大井武蔵野

 ふじみ野市の住宅で1月、医師らが散弾銃で撃たれるなどして死傷した立てこもり事件で、さいたま地検は1日、殺人や殺人未遂の罪などで、ふじみ野市大井武蔵野、無職の男(66)をさいたま地裁に起訴した。裁判員裁判で審理される。

 起訴状などによると、男は1月27日、自宅で医師の鈴木純一さん=当時(44)=の胸部に散弾銃を発砲して心臓破裂で死亡させ、さらに同じ散弾銃で理学療法士の男性(42)を撃って肝損傷などの重傷を負わせた上、医療相談員の男性(33)に催涙スプレーを発射し傷害を負わせ、路上にいた医療相談員の男性(43)に別の散弾銃を放ち、殺害しようとしたとされる。

 男は事件前日に死亡した母親(92)の診療を担った鈴木さんら医療関係者7人を指名し、「線香を上げに来い」などと弔問目的で呼び出した。1階の和室には母親の遺体があり男は「生き返るはずだから心臓マッサージをしてほしい」と蘇生措置を要求。死後約30時間が経過していたことなどから鈴木さんが丁寧に説明して断ると散弾銃を取り出して発砲した。立て続けに理学療法士の男性を撃つなどした後に、鈴木さんを人質に約11時間立てこもり、28日朝に突入した県警の捜査員に身柄を確保された。

 さいたま地検は男の認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると最初の逮捕後の取り調べに、「母が死んでしまい、この先いいことはないと思った。自殺しようと思っていた時に自分だけではなく医師やクリニックの人を殺そうと考えた」と供述。2件の殺人未遂容疑については「殺すつもりはなかった」と殺意は否定していた。

 さいたま地検は3月3日から約3カ月、鑑定留置を実施していた。

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