吉川の病院計画が中止に 吉川市、建設費や医療機器の高騰が理由で撤退と発表 医療法人「一番の問題は調剤薬局の設置」、県の会議で発言 市、理由の一部しか公表せず…複数の市議ら、議会で説明求める
吉川市が公募で進めていたJR吉川美南駅前の総合病院建設計画が中止になった問題。市民から期待されていた病院建設が中止になったのはなぜか。市の説明不足など対応に不満がくすぶっており、複数の市議が18日から始まる市議会一般質問で、市側に説明を求める。
市は昨年11月、大和ハウス工業(大阪市)と医療法人社団葵会(千葉県柏市)が、建設費や医療機器の高騰などを理由に病院建設から撤退したと発表した。
一方、同月に開かれた県の「東部地域医療構想調整会議」で、葵会の担当者が「一番の問題となったのが調剤薬局の設置」などと発言していたことが判明。辞退した理由の一部しか、市が公表していなかったことが明らかになった。
病院建設計画の中止について、市は10、11月、議員を対象に議事録を取らない非公開の説明会を開催。中原恵人市長は「12月議会でガタガタやっているのが外に出ないように」などと発言。情報の取り扱い方に触れ、複数の議員を「危険な3人」と名指しした。
中原市長の発言に対して、市議会は12月議会で「猛省を求める決議」を可決。「言論の自由を抑圧するような言動」と市長の姿勢をただした。市長は決議に対し「議決権の乱用であり暴力的」と申入書を提出し対立が続いている。
その後、複数の議員が情報公開法に基づき、病院計画の協議の経緯など記録の公開を市側に請求。情報が十分に公開されないとして、3月議会で質問する予定だ。
病院が不足する県南東部で、葵会は2023年、県から病床数224床の採択を受けた。市は同年、駅前の土地区画整理事業「商業・業務ゾーン」で事業者を募集。代表申込者の大和ハウス工業、共同申込者の葵会が総合病院の建設計画を提案した。
同ゾーンについては20年、当初は4万4千平方メートルを一括して公募。応募がなかったことから、23年の募集時に2画地に分けた。2画地の取得を目指し病院建設を目指した2事業者は1画地のみの優先交渉権者に、別の1画地はホームセンター会社が選ばれた。計画中止の背景には、薬局、専門学校の用地確保が困難になった可能性が指摘されている。
葵会は埼玉新聞の取材に「県のホームページ上に掲載されている内容が全て」、大和ハウス工業は「回答は差し控える」としている。
市は2事業者が辞退した画地について、今後改めて募集を行う予定。3月議会に向けた2月の定例会見で中原市長は「薬(薬局)も専門学校も公募から調整はしている。後になってからこれができないのでやめるというのはナンセンス」と経緯の一端に触れた。