浦和、大宮、川口、上位3地点は3年連続で変わらず 京浜東北沿線での需要堅調 商業地と住宅地の伸び率、さらに高く 埼玉の公示地価、景気回復の期待で上昇傾向続く
国土交通省は18日、2025年1月1日時点の埼玉県内公示地価を発表した。用途別平均変動率は住宅地がプラス2・0%(前年同率)、商業地がプラス2・8%(同2・4%)でいずれも4年連続、工業地はプラス3・4%(同3・2%)で12年連続の上昇となった。日銀の利上げ観測や大企業を中心とした景気回復の期待感を受け、住宅地と商業地の4分の3で上昇傾向が続いている。
調査は県内1280地点(住宅地1011、宅地見込地1、商業地222、工業地44、林地2)で実施。商業地と住宅地は08年以来の高い伸び率となった昨年をさらに上回る結果となった。
住宅地1011地点の中で上昇したのは昨年より10地点減少の736地点(構成比73%)。市町村別平均変動率では上昇が昨年から1減の36市町。浦和、大宮、川口駅など京浜東北線沿線の徒歩圏で生活利便性に優れた住宅地で需要が堅調。価格は「さいたま市浦和区高砂2の2の6」が9年連続で1位。1平方メートル当たり129万円だった。2位は「さいたま市大宮区下町1の62の1外」の同108万円、3位は「川口市幸町1の3の24」の68万2千円だった。上位3地点は3年連続で変動はなかった。
変動率の上位2地点は価格上位2地点と同所となり、「さいたま市浦和区高砂2の2の6」が9・3%でトップ。次いで「さいたま市大宮区下町1の62の1外」が8・2%で続いた。3位は「川口市小谷場字岡ノ下521の5」の8・1%だった。
商業地は222地点中171地点(同78%)で上昇し、昨年と同水準だった。価格は大宮駅西口のソニックシティ南側、ベルヴュオフィス大宮ビルがある「さいたま市大宮区桜木町1の8の1」が1平方メートル当たり465万円で34年連続1位。次いで、同駅東口の「大宮門街(かどまち)」南側の「さいたま市大宮区仲町1の37の1外」が272万円、3位は「川口市栄町3の5の1」の250万円で続いた。上位3地点は23年連続で変動はなかった。
変動率では価格1位の「さいたま市大宮区桜木町1の8の1」が11・2%と県内全調査地点で最高の伸び率。2位は「さいたま市大宮区桜木町2の155外」の11・0%、3位は「さいたま市大宮区仲町1の37の1外」の9・7%だった。大宮駅周辺の繁華性の高い地点や川口駅周辺の商業集積度が高まっている県南部の伸びが目立った。
特に再開発事業などの進展が期待される地域やマンション用地と競合する地域で上昇した。工業地は首都高速道路や東京外かく環状道路(外環道)に近い都心近接地域の交通利便性の高い地点で変動率が拡大。調査43地点全てで上昇した。
今後について不動産鑑定士の三田和巳さん(春日部市、みつば総合鑑定所)は「地域や用途で差があるものの都市部を中心に上昇傾向」としながらも、昨年12月の県景気動向指数が2カ月ぶりに下降しており、「引き続き注視が必要」と話した。