埼玉新聞

 

秩父の香り華やかに オール地元産の日本酒「武甲正宗」1500本限定販売 ワイングラスで飲むのも一興

  • オール秩父産の「武甲正宗 純米大吟醸」を紹介する長谷川浩一社長=4日、秩父市宮側町の武甲酒造

 秩父市宮側町の武甲酒造が、秩父産米のみを使用した日本酒「武甲正宗 純米大吟醸」の販売を開始した。「オール秩父」の日本酒を生み出そうと、3年前から同市下吉田の田んぼで栽培を進めている酒米「山田錦」を使用し、芳醇(ほうじゅん)やや辛口タイプに仕上げた。同社の長谷川浩一社長(62)は「華やかな香りと米のうまみを楽しめるので、ワイングラスで飲むのも一興(いっきょう)」と勧めている。

 秩父地域は昔から酒造りが盛んな土地だったが、地元で酒米を栽培し、醸造する取り組みは行われていなかった。オール秩父産の日本酒造りは2019年に始動。地元農家の町田一郎さんが山田錦を栽培し、地元の酒造会社が日本酒を製造、販売する。武甲酒造は20年に「純米大吟醸 彩虹(さいこう)」として初商品化し、今回が3作目となる。

 今作は、昨年11月に約80アールの田んぼで収穫した約3トンの山田錦を用い、50%精米で醸した純米大吟醸酒。6月に「県ふるさと認定食品」に指定され、県農産物を主原料とした良質な食品として認められた。

 町田さんが所有する田んぼには、カブトエビやコオイムシなどの水生動物が生息している。カブトエビは、約40対の脚でかき回しながら水田を泳ぐため、雑草の防除につながり、農薬を使わずに稲を生育できる。

 長谷川社長は「コオイムシは大変貴重な生き物で、長年農薬を使わずに栽培を続けている田んぼにしか生息しない。安心な環境で酒米を作っていることを多くの人に知ってもらい、今年収穫する山田錦は、県内初となる特別栽培米認定を取れるように進めていきたい」と話していた。

 「武甲正宗 純米大吟醸」は720ミリリットル入りで税込み3300円。1500本限定で完売次第終了となる。

 問い合わせは武甲酒造(電話0494・22・0046)へ。

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