怒り…猛スピードで小学生の体ギリギリを走る車続々 通学路が渋滞回避の抜け道化 交通取り締まり強化へ
児童の登校時間帯に車両通行が禁止される「スクールゾーン」に侵入する車が後を絶たない。標識と路面標示でスクールゾーンの存在を知らせているものの、渋滞回避の抜け道として利用するドライバーも。昨年6月28日には、千葉県八街市で下校中の児童5人が死傷する事故が発生した。県警は重大事故につながりかねないとして、通学路での通行禁止違反の取り締まりを強化。「交通規則を守って運転してもらいたい」と呼びかけている。
6月17日午前7時過ぎ、志木市下宗岡4丁目にある制限速度30キロの通学路に朝霞署員と県警交通機動隊員が約15人集まっていた。この通学路は、近くに幹線道路があり、渋滞を避けるための抜け道として利用する車も多い。小学生の登校時間に合わせ、午前7時半から1時間、許可証を持つ車両以外は通行できない道となっている。
通行できない区間や時間は、標識と路面標示で知らせている。しかし、通行禁止時間になっても、許可証のない軽自動車やトラックなど多くの車両が侵入した。近隣住民によると、この日に限ったことではなく、朝夕の交通量は多いという。
通学路の近くに住む女性(70)は「児童の体すれすれを通る車もいる。私も怖い思いをした」。付近で働く男性(61)は「通学路が抜け道になっている」と指摘し、「スクールゾーンと分かっていて、入ってくる車がほとんどではないか。スピードも60キロぐらい出ている車もあり、危ない」と怒りをにじませた。
通行禁止違反は減点2点、罰金5~9千円が科せられる。スクールゾーンでの取り締まりを定期的に実施している朝霞署によると、この日は約1時間で20件以上の違反が確認された。同署の北島隆孝交通課長は「児童が交通事故に遭わないためにも、引き続き通学路の取り締まりを強化していく」と強調する。
県警交通規制課によると、県内にある通行禁止時間を設けている通学路は昨年末時点で1880区間、総距離575キロ。児童が登校する時間に合わせて、各道路で通行禁止の時間を設けている。
スクールゾーンでの通行禁止違反の取り締まり件数は同5891件(前年比1948件増)。コロナ禍で2020年の取り締まり件数が減ったことも要因の一つだが、昨年は20年と比べ、取り締まり件数は大幅に増加した。
昨年、県内で登下校中の小学生が事故に遭った件数は58件(前年比7件増)。このうち重傷を負ったケースは登校時1件、下校時7件だった。同課は「スクールゾーンでの事故は重大な事故につながりかねない。交通規制を守ってもらうとともに、子どもたちが被害に遭うような運転はしないでほしい」と呼びかけている。