埼玉新聞

 

那須雪崩8年、遺族が講演重ね 次男失った母「生きて帰って」

  •  高校生らが雪崩に巻き込まれたスキー場周辺で、救助活動をする消防隊員ら=2017年3月27日、栃木県那須町

     高校生らが雪崩に巻き込まれたスキー場周辺で、救助活動をする消防隊員ら=2017年3月27日、栃木県那須町

  •  高校生らが雪崩に巻き込まれたスキー場周辺で、救助活動をする消防隊員ら=2017年3月27日、栃木県那須町

 栃木県那須町で2017年、登山講習中の県立大田原高の山岳部生徒ら8人が死亡した雪崩事故から27日で8年となった。高校1年の次男高瀬淳生さん=当時(16)=を亡くした母晶子さん(58)は事故の教訓を伝えようと、登山者らに「みんな生きて帰ってほしい」と講演活動を重ねている。

 17年3月27日朝、那須町のスキー場近くで淳生さんは、雪崩に巻き込まれ雪に埋もれて亡くなった。

 淳生さんは小学5年で父を亡くした。ぼうぜん自失となっていたが、14歳の時、四国遍路を計画し一部を巡った。元気を取り戻し、高校では山岳部に。自主練習も楽しんでいたさなか事故に遭った。

 晶子さんは事故後、寝られない日々が続いた。ただ県教育委員会が新任教諭らに事故の教訓を盛り込んだ研修を開催すると耳にして、語りたいと講話を申し出た。計6回招かれた。

 雪崩事故防止研究会(札幌市)の講演会に23年から参加し登山をする人たちに遺族の思いを伝えた。講演は、事故後の気持ちと向き合うため苦しみながらだが淳生さんの人柄を伝えられるようになった。今でも願い続ける。「真実を知りたい」

ツイート シェア シェア