<新型コロナ>感染、熱中症…難しいマスク判断、3密のうち一つでも密あれば着用を 知らぬ間に喉渇き注意
新型コロナウイルス感染拡大の対策の一つとして進められてきたマスクの着用。マスク生活が始まって2年以上がたち、着用が当たり前の光景になってきた。厚生労働省は5月20日、屋外で2メートル以上確保できない場合でも、会話をほとんど行わなければマスク着用を不要とする考え方を示した。マスク生活も緩和の方向に進もうとしたが、7月中旬から感染者が急増している。熱中症のリスクも懸念される中、マスク着用の判断が難しい場合も。専門家はマスク着用について「臨機応変に対応することが求められる」としている。
小鹿野町に住む主婦(87)は「安心して人と会話することができないので、マスクは外さないと思う」と明かす。自身が高齢なこともあり、コロナ感染への心配も大きいという。暑いときは「1人の際は片耳だけ外して、人が来たら着ける」と語った。
ホテルで働いているという戸田市の男性(23)は「会社での勤務中や電車の中、店に入った際などはマスクを着けている」。「接客業なので仕方がない部分もあるが、本当はすぐにでも外したい」と男性は話す。街中を1人で歩いている際などはマスクを外しているという。「緩和の流れはうれしかったが、今後どうなるのか」と複雑そうな表情を見せた。
■CDC機関必要
埼玉医科大総合医療センターの岡秀昭教授(総合診療内科・感染症科)はマスクの着用について「臨機応変に対応していくことが必要」と語る。現在は、重症化のリスクも比較的高くないとした上で、「マスク着用の推奨度は上がっている」と見解を示す。
岡教授は、具体的に現在の状況では「3密のうち、一つでも密があればマスクをした方がいい」と指摘。一方で「密がゼロの場合は、状況によって外すこともできる」と説明する。屋外で人のいない場所など、「3密」にならない場合などでは、各自で判断して外すことも必要になるという。
ただ、各自で的確に判断することが難しい場合もある。岡教授は「公共機関がマスク着用の有無を一定期間ごとに出すべき」と強調。そのためには、「米疾病対策センター(CDC)のような機関を日本もつくるべきだ」と訴えた。
■小まめに水分補給
県感染症対策課は、マスクの着用基準について、状況別で県のホームページ(HP)に公開。国の考えと統一した基準で提示している。同課は「現在、感染者は増加している。必要な時はマスクを着けて感染症対策に努めていただきたい」としている。
県健康長寿課は、マスクの着用が熱中症のリスクにつながる恐れがあるとして、チラシなどで注意喚起をしている。「マスクをしている際は喉の渇きに気付きにくい。マスク着用中も小まめに水分補給をしてほしい」と呼びかける。感染予防と熱中症対策を行うために、マスクと上手に付き合うことが求められそうだ。
岡教授は「感染の状況に応じて、マスクを常時着けなければならないときが、また来るかもしれない」と推測し、「感染予防を止めてはいけない」と強調した。