<高校野球>夏休みの学校に歓声、涙「無失点は奇跡」 優勝直後、駅に横断幕 聖望学園の地元・飯能も歓喜
最後の打者を打ち取ると、夏休みの静寂に包まれた校舎に歓声が響いた。26日の第104回全国高校野球埼玉大会決勝で、聖望学園が浦和学院を1―0で破り、13年ぶり4回目の夏の優勝を果たした。優勝候補筆頭を接戦で退けて手にした甲子園の切符。「奇跡」「感動した」。学校関係者らは快挙を喜び、地元・飯能市の西武池袋線飯能駅には優勝を祝う横断幕が設置された。
「浦和学院相手に無失点で抑えられたのは奇跡」。2年前まで野球部部長を務めていた表隆則副教頭(60)は信じられないといった様子で語り、「生徒の判断に任せて伸び伸びとプレーさせたところが良かった。岡本監督の采配がさえていた」と勝因を分析した。
岡部大輝選手と東山陽紀選手を担任する原田美愛実教諭(30)は2人について「初めて担任を持った子たち。普段はやんちゃなところもあるが、野球への姿勢は真剣。春に結果が出せなかった時は目に見えて落ち込んでいたので、今回優勝が決まった子どもたちが泣いているシーンを見て感動し、涙を誘われた」と、学校生活では見ることのない生徒の一面に心を打たれていた。
優勝が決まり、同校には野球部関係者もお祝いに訪れた。野球部OBの息子を持つ西村洋子さん(53)は「息子は2008年に聖望が優勝した時の部員。当時の恩返しの気持ちでOBで集めた寄付を持ってきた」と話した。
同校には岡本幹成監督の妻恒子さん(54)が、事務員として勤務している。恒子さんは興奮した様子で「学校の事務員としても、甲子園が決まって良かった。夫にはまず、お疲れさまでしたと声をかけたい」と快挙を成し遂げた指揮官をねぎらった。
西武池袋線飯能駅に掲示された横断幕は長さ1・2メートルで「祝 聖望学園高等学校 第104回甲子園大会出場」と記し、決勝戦の終了直後に案内板の下に取り付けた。西武鉄道によると「地元の学校を応援したい」との思いから駅員一同で作ったという。
娘が同校に通っていたという女性(79)は「気になってテレビで見ていた。(岡部大輝)投手は表情を変えず落ち着いていて、素晴らしかった。甲子園では雰囲気に負けず、普段通りにしてほしい」と話していた。
■聖望ナイン飯能市長に優勝報告 甲子園での健闘誓う
第104回全国高校野球埼玉大会で優勝した聖望学園は26日、地元の飯能市役所を訪れ、新井重治市長らに優勝報告を行い、甲子園での健闘を誓った。
市役所玄関前に特設された会場で、江口生馬主将は出迎えた市民や野球部関係者約400人に「皆さんの応援のおかげで優勝することができました。この勢いのまま甲子園でも優勝します」と力強く宣誓。続いて岡本幹成監督が「子どもたちが力以上のものを出して勝ち取った優勝。甲子園でも埼玉の代表として恥じない野球をやっていきたい」と抱負を語った。
決勝戦を県営大宮球場のスタンドで観戦した新井市長は「優勝の瞬間に市長として立ち会えて光栄。興奮しました」と話し、夢舞台に赴くチームを激励した。