埼玉新聞

 

4時間かけて地下探検 4月から新たな見学コース 埼玉・春日部 治水施設「首都圏外郭放水路」 「第3立坑」が初公開、防災について「楽しく学んで」

  • 首都圏外郭放水路の新たな見学コースに加わった第3立坑(江戸川河川事務所提供)

    首都圏外郭放水路の新たな見学コースに加わった第3立坑(江戸川河川事務所提供)

  • 首都圏外郭放水路の新たな見学コースに加わった第3立坑(江戸川河川事務所提供)
  • 巨大な柱が建ち並び、「地下神殿」と呼ばれる調圧水槽(江戸川河川事務所提供)

 「地下神殿」で知られる春日部市の治水施設「首都圏外郭放水路」に4月から、神秘的な地下探検を楽しめる新たな見学コースが加わる。ほかにも防災コンシェルジュの導入など、観光面の魅力を充実させる新規プロジェクトを推進する予定。災害対応への関心が高まる中、体験を通じて防災力を高めてもらう「防災ツーリズム」の拠点として年間来場者10万人を目指す。

 首都圏外郭放水路は大雨などの際に中小河川の水を取り込み、地底50メートルを貫く総延長6・3キロのトンネルを通じて江戸川に流す世界最大級の地下放水路。河川が多く流れる県東部の浸水被害を軽減するため、2006年に供用が開始された。水を引き込む流入施設と縦穴の立坑(たてこう)、地下河川のトンネルなどで構成されている。

 中でも水をためて勢いを弱める調圧水槽は、巨大な柱が立ち並ぶ姿から地下神殿と呼ばれる人気スポットになり、見学会などで年間約6万2千人が訪れている。

 新たな見学コースは、初公開となる「第3立坑」(内径31メートル、深さ71メートル)を加えた約4時間の「地下河川を歩くアドベンチャー体験コース」。国土交通省が進める「インフラツーリズム」のモデル地区に選ばれて新設した。地底を探検しながら、水害からまちを守る仕組みや技術者の工夫を学ぶことができる。月1回開催し、定員は各回16人、参加費は1人1万5千円。

 ほかにも、「防災コンシェルジュ」によるコース案内と解説、ゲーム「マインクラフト」を使った放水路の再現公開、来場者への「災害から命を守る自分事化カード」の配布、地下神殿のライトアップなどを順次始める。

 施設を管理する国交省江戸川河川事務所は「多くの人に訪れてもらおうと、幅広い年代の職員がアイデアを出し合い、プロジェクトを立ち上げた。堅苦しいイメージのある防災について、楽しく学んでもらえたら」と来場を呼びかけている。

 問い合わせは、同事務所(電話04・7125・7311)へ。

ツイート シェア シェア